平安期の仏像3体と判明 善福寺 造像年代と有力氏族名の銘文見つかる 「地域の歴史知る貴重な資料」【舞鶴】
投稿日時:2014年02月12日(水)
京田の臨済宗、善福寺(田中文秀住職)に安置されている木造の仏像3体が、平安時代後期に造られたものであることが分かった。同寺と市教委がこのほど発表した。その中の一体、地蔵菩薩坐像の胎内には「承安5(1175)年」の造った年代と、造像にあたって出資をした51人以上の名前「結縁交名(けちえんきょうみょう)」が記されており、地域の歴史を知る貴重な資料とみられる。
仏像は本堂の阿弥陀如来坐像、地蔵堂に安置されている地蔵菩薩坐像と毘沙門天立像。仏像に傷みがあるため、昨年秋、花園大学歴史博物館研究員の東野鈴奈さんらが調査した。3体とも頭部や衣の彫り方、1本の木から3パーツほどに分けてつくる一木割矧造(いちぼくわりはぎづくり)の技法であることなどから、12世紀ごろの作とわかった。
地蔵菩薩坐像は高さ約1・3メートル。腹部の内側に年号の銘文と、藤原氏や橘氏、土師氏、出雲氏など地域の有力者とみられる名前が記されていた。地元にあった安子(あご)池から掘り出されたとの伝承が地域に残る。
仏像の中から多くの氏族名の銘文が見つかったのは舞鶴では初めて。近隣では兵庫県小野市や出石町などで確認されている。田中住職は「寺の開山(1417年)より前に造られた仏像だと知り、びっくりした。次の世代に残せるよう、修復を検討したい」と話す。
地蔵菩薩坐像を調査した京都大学大学院の根立研介教授は「銘文によって平安時代に造られたことがわかる仏像は、全国に100しかなく、しかもこの像は大作で全国的にも注目される遺品である。氏族名は府北部ゆかりの人物と思われるものが数多く含まれており、この時代の北部の歴史を知る上で貴重な資料だ」としている。
写真左=胎内から銘文が見つかった地蔵菩薩坐像と田中住職
写真中=毘沙門天立像(善福寺提供)
写真右=阿弥陀如来坐像(同)
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