大きく成長、中学生活始まる 長柄君 医療ケア受け中筋小6年間過ごす 友達いっぱい 笑顔広がる【舞鶴】
投稿日時:2014年04月11日(金)
先天性横隔膜ヘルニアをもって生まれた長柄智也君(12)=境谷=が、8日に城南中学校に入学し、中学生の生活をスタートさせた。肢体不自由と知的障害を持ち、栄養を鼻から補給する医療的ケアを必要とするが、6年間、地域の中筋小学校で過ごした。多くの友達と触れ合って大きく成長した智也君。父親の俊治さん(51)と母親のさゆりさんは長男の智也君の新しい歩みを見守る。
1860グラムで生まれ、生きていく確率は1%と告げられた。すぐに京都府立医大病院で10時間に及ぶ開腹の大手術を行い、生後3日目に2回目の手術を受けた。初めて抱っこができたのは3カ月後だった。ICUで8カ月を過ごし、合計6回の手術を乗り越えた。
11カ月で舞鶴医療センターに転院。1歳1カ月で同センターを退院したが、当時は栄養分をチューブで鼻から注入するのが朝7時から始め、終わるのは夜中の3時。世話をするさゆりさんは睡眠が取れなかった。
3歳から児童デイサービス「さくらんぼ園」に通わせた。友達と遊ぶ姿に2人は保育所に行かせたいと問い合わせるが断られ、やっと5歳で中保育所に入園できた。
友達に囲まれ成長する息子を目の当たりにし、夫妻は「障害を持ちながらも元気に過ごす子供たちや、何度も手術を乗り越え頑張る子供たちがすぐ隣にいることに気づいてほしい」と、地域の小学校に通わせたいと強く思うようになった。何度も話し合い、中筋小に入学が決まった。
現在栄養の注入は智也君の場合、朝昼晩の3回必要。いまは1回400cc、約1時間半で終わる。支援学校以外でこうした医療的ケアを行なえるのは看護師か親のみ。市教委に看護師の配置を要望したが叶わず、6時間目の授業やクラブ活動がある時のみ、さゆりさんが6年間学校を訪れケアを行なった。送迎は毎日車で続けた。
普段は支援学級で授業を受けるが、交流授業の時間で体育や音楽、理科などで多くの友達と過ごした。教諭たちも智也君が授業を受けやすいよう工夫を重ねた。4年生ごろから給食も少しずつ食べられるようになり友達と一緒に食べ、児童たちが智也君のできる遊びを考えた。車椅子や歩行器を使うが、杖をついて歩けるようにもなり、運動会では太鼓演奏などで参加した。
休日には友達が自宅に遊びに来てくれた。夏休みにはピザづくりを楽しみ、冬には雪だるま作り。学校でデジカメクラブに入る智也君が撮影を担当した。友達たちはさりげなく車椅子を押し、互いに笑顔を交す。
6年間、1日しか休まなかった智也君。「学校が大好きで休みが嫌い。友達と一緒に食べた給食が楽しかった」と振り返る。言葉も増え自分の思いを伝えられるようになった。友人たちと一緒に入学式に臨んだ。
俊治さんは「小学校では運動会で、みんなと一緒に組体操に参加できたことが一番印象に残っています。毎日元気に登校し、友達の輪を広げ色々なことにチャレンジしてほしい」と入学式を見守った。
さゆりさんは「同級生の子供の中には介護士になろうという子もいたり、学校も全体で支えていただき大変感謝しています。以前は人と関わることに不安がありましたが、今は同じ場にいるだけで嬉しそうにしています。地域の小学校を選んだことが間違いでなかったと、智也の満面の笑みが答えてくれます。親も成長できた6年間です」と話している。
写真=小学校からの友達と城南中の入学式に出席した長柄君(俊治さん提供)
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