身障センター「ぽーれぽーれ」で 亡き夫、震災へ寄せる 福島出身の鯵本さん 短歌展【舞鶴】
投稿日時:2014年12月09日(火)
亡くなった夫の介護の日々や東日本大震災の被災地を綴った短歌展が、舞鶴市余部下の市身体障害者福祉センター・サロン「ぽーれぽーれ」で開かれている。ペースメーカーを装着しながら仕事やボランティアも続け、古希を迎えた鯵本ミツ子さん=矢之助町=が、夫の思い出や原発事故で避難する人たちへの想いを詠んだ。母の勧めもあって学生時代から、日記を書くようにして独学で短歌を始めた。いまでは塔短歌会に入り、仲間たちと学び合っている。5年前に夫を亡くしたが、筋萎縮性側索硬化症(ALS)となり、4年間介護を続けた。自らも心臓病を患い3年前からペースメーカーを装着する。多くの自作の中から介護、夫の思い出、震災をテーマに80首を選び、A4の紙に書いて展示。介護の日々を記した「時々は私も泣いていいですか難病の夫守りて生きた」はNHK介護百人一首に入選し番組の取材を受けた。「今一度聞きたし病夫の『北の漁場』朗々と唄ひし笑顔忘れじ」は、夫が元気なころ一緒に飲食店に出掛けた時の思い出だ。福島県伊達市の出身で、事故を起した東電福島第1原発から60キロに位置する。昨年4月に実家を訪れた際に除染され変わり果てた樹木を目にし、「樹皮剥がれ薄墨色に変はり立つ古里の柿の木除染を終へて」と詠んだ。今年のNHK震災を詠むで入選した句「故郷を『フクシマ』と呼ばれ八万の避難の人ゐる三年を経るに」で、避難者へ想いを寄せ自宅へ戻れるよう祈った。鯵本さんは「だれにもいえない想いを短歌にして書きとめ、悲しい時や辛い時の励みにしてきました。これからも震災のことを忘れないためにも詠んでいきたい」と話している。12月17日まで。午前10時~午後4時。
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