駅舎清掃 円熟の10年目 ~松尾寺駅で高専生ら170人が汗
投稿日時:2018年06月22日(金)
吉坂の松尾寺駅舎周辺で16日、草刈りを主とした清掃活動が行われた。特定非営利活動法人 駅舎と共にいつまでも(福村暉史理事長)の主催によるこの活動は、今年で10年目の節目を迎えた。
梅雨空が中休みとなったこの日、松尾寺駅舎前に170人を超える人たちが集まった。清掃活動に参加したのは、同法人のメンバーをはじめ、地元吉坂地区の住民やJR職員OB、舞鶴高専生と幅広い。駅舎周辺は、万全の準備で集まった老若男女で溢れかえった。無人となって久しい松尾寺駅。今はひっそりとした佇まいで地域の足を守っているが、かつては相応の賑わいを見せていた。清掃に参加したJR小浜駅長の三宅清さん(57)は、舞鶴高専の生徒であった40年前、毎日同駅を利用していた。その頃は日本板硝子の工場に向かう支線もあり、多くの乗降客があったと昔日を懐かしんだ。「こんな形で出身の学校とつながりができてうれしい。これも何かの縁だなと感じる」と、三宅さんは清掃に精を出す高専生をにこやかに見つめていた。同校学生会地域局の局長を務める大西主税(ちから)さん(18)は、大阪府高槻市出身の4年生。モノづくりに興味があり進学したが、入学当初はあまりの環境変化に戸惑ったという。しかし、次第にこの街の良さに気付き始めた。学生会の活動に精を出すようになると、地域の人とのつながりも増え、世界が広がった。「ふだん利用している駅を綺麗にできることは、光栄なこと」と大西さん。その思いは学生たちに伝わり、任意参加にも関わらず130人を超える仲間が集まった。案内方法は校内の貼り紙と口コミのみだったが、毎年恒例の清掃ボランティアは確実に定着し、その意義が継承されていることの結果だった。同法人の副理事長を務める山本長敏さん(71)は、駅舎周辺を埋め尽くす参加者らの姿を前に、「幼いころからなじみのある駅舎が、こんなにも多くの人たちの手によって綺麗になる。こんなに清々しく、うれしいことはない」と笑顔を見せた。作業は、およそ2時間に渡って続けられ、集められた雑草などは、90lのゴミ袋100袋を超えた。同法人の福村理事長は、「最初はこじんまりと始めた清掃活動。こんなにも大規模に出来るようになって感慨深い。高専生は、各地から来ている。こうした経験は将来への糧になる。今後はそれぞれの舞台でボランティアにも目を向けてほしい」と高専生の活躍に目を細めていた。地域のボランティア活動は、10年の時を経て円熟味を増してきた。曇天の下で盛んに交わされる参加者らのかけ声に、梅雨空を吹き飛ばす勢いを感じた。
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