魅力ある「舞鶴暮らし」を
投稿日時:2018年11月30日(金)
森本町でこのほど、舞鶴高専の学生が、市の「お試し住宅」の設計プランを所有者に説明する催しが開かれた。舞鶴市は市内の空き家を借り受けて一定の改修を行い、市外からの移住者に貸し出す事業を展開しており、今回は2例目となる。
後継者がないなどの理由で、近年市内には空き家が増え続けている。この「空き家問題」は、防犯や防災などを考える上でも、市民生活に与える影響が大きい。そんな中、市が取り組む「お試し住宅」事業は、空き家問題と移住促進を結び付けられるとして注目を集めている。事業の概要は、市が空き家を所有者から10年間借り上げ、改修した上で移住希望者に貸し出すというもの。希望者が支払った賃料の一部で改修費を賄うという仕組みだ。昨年度実施された第一例目では、昭和13年に建てられた浜の木造住宅が、高専生の手によって生まれ変わった。第2例目となった今回は、森本町の空き家が舞台となる。所有者の高橋英紀[ひでのり]さん(55)は現在、京都市に在住している。両親の死去により、7年前から空き家になったという。説明会には周辺住民なども参加し、プロジェクターを用いて説明する高専生の話にそれぞれ耳を傾けた。学生らは、今回の提案のコンセプトを、移住者に「舞鶴らしい生活」を体験してもらうことと定めた。建物南側を開放的に設計し、前庭とのつながりを持つことで「舞鶴らしいゆとりある生活環境」を演出したという。参加者らは、興味津々といった様子で、模型に見入っていた。
説明を聞き終えた高橋さんは、「長年過ごした我が家が変わる寂しさは少しあるが、有効に使ってもらえるならば本当にうれしいこと」と笑顔を見せた。設計に携わった柳澤大樹さん(24)と、田中甫[はじめ」さん(20)は、「貴重な体験をさせてもらって、とても勉強になる」と共に話した。柳澤さんは、「舞鶴の空気感を楽しんでもらえるような家になれば」と期待を込めた。田中さんは、「一部とはいえ、空き家問題という社会的に重要な問題に関わらせていただき、とてもやりがいを感じる」と話した。市の担当者によると、近年は年間40~60程度、移住希望者からの相談が寄せられるという。昨年には、12組26人が移住し過去最高を記録したが、今年は10月末時点で、すでに9組26人と記録の更新が確実視されている。こうした取り組みがしっかりと成果を残すことで、移住政策に弾みがつくことは間違いない。今後の展開に期待したい。
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