翼をひろげ、世界へ翔けろ
投稿日時:2018年12月11日(火)
京田で寝具などを製造販売するパシフィックウエーブ(田中啓介社長)がこのほど、スペイン・バルセロナで開催された見本市「スマートシティーエキスポ」に出展した。同社は、2月にはニューヨーク市でのビジネスプラン説明会へ派遣されており、今回の渡航企業選定は、今年に入って2回目となる。
同エキスポは、環境技術や情報技術を生かした街づくりをテーマに開催。スマートシティーとは、都市インフラを効率化したり、エネルギー管理にIT技術を用いたりすることで、快適さと省エネを目指す次世代の街。同エキスポには、世界700都市から約2万人が参加した。独自の技術を持つベンチャー企業を後押ししようと今年から始まったコンテストで、同社が「準グランプリ」の栄誉に輝いたことで2月の派遣が決まった。同コンテストは、京都、大阪、奈良の3府県にまたがる関西文化学術研究都市(けいはんな学研都市)の企業や大学、自治体などでつくる「けいはんなリサーチコンプレックス(RC)」が主催。今回のバルセロナ派遣も、その延長線で決定したという。
同社は現在、独自の技術による素材「ジェルトロン」を使用した寝具などを製造販売している。この素材は体圧分散性に優れていると同時にウレタン素材の4~5倍の耐久性を備えており、加えて通気性とずれ力の吸収性にも優れているため、寝具の快適性を劇的に高めると田中社長は言う。現在、同社の一部商品はネット通販大手の「楽天市場」でも大きく支持を集め、増産に次ぐ増産と、同社工場はフル稼働している現状だという。「今後は、衝撃吸収に優れた能力を発揮する同素材を、自動車などの内装部品として売り込んでいきたい」と、田中社長は話す。そのためには、現在手作業で担っている製造工程をオートメーション化し、大量生産を可能にする必要がある。同社は、東南アジアや中国など、世界各国を飛び回り、ビジネスパートナー探しを積極的に進めているという。同エキスポに参加した他の4社はいずれも20代、30代の若い経営者で、「語学能力では、水をあけられた」と田中社長は苦笑した。しかし、滞在期間では実り多い商談もこなした。救急車のストレッチャーで世界2位のシェアを誇るスペインの会社が同社の製品に興味を持ち、商談が進んでいるという。これは、近年、世界保健機構(WHO)が、「ストレッチャーにも床ずれ予防の概念を持ったものを基準とする」と発表した動きに倣った流れだと、田中社長は製品への追い風を実感しているという。市の挑戦的事業「舞鶴市リーディング産業チャレンジファンド」の採択第一号企業である同社。その挑戦は、いよいよ世界へ広がり、大きな飛躍が期待される。
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