短歌に親しみ 38年~紺屋町の中嶋さん 第二歌集「水の果」出版
投稿日時:2019年06月28日(金)
紺屋町に住む中嶋洋子さん(80)が、第二歌集となる「水の果[はたて]」を出版した。平成11年から20年に及ぶ短歌をまとめた集大成で、中嶋さんは「私の人生がつまった歌集ができた」と笑顔を見せる。
中嶋さんが短歌を始めたのは42歳の時。簿記を習得しようと西舞鶴高校通信制の特科生として入学。国語を担当した林幸子先生を中心にした校内文芸誌「彩雲」への投稿がきっかけになった。短歌結社「古今」で福田たの子先生に師事し、「鶴の会」の西村尚先生の指導も受けた。以降は、平成26年まで「飛聲短歌会」で活動。現在は「きづた短歌会」で月一回勉強している。還暦を機に第一歌集「露地の夕顔」を出版。5年前には、自身の描いた絵画と歌を重ねた歌画集も出版した。第一歌集出版から20年が経過。傘寿を機に、これまで作句してきたものをまとめようと編集を始めた。歌集名は、『流れゆく水の果は知らねども澄みて流るるこの川にのる』という自身の一首からとった。滋賀県米原市の醒ヶ井を旅行した際、梅花藻が咲く川の美しさに心を奪われて句を紡いだ。「川(人生)の行き着く所はどうなるか分からないが、醒ヶ井の美しい水のような人生を生きていきたいと思った」と振り返る。歌集はハードカバーで270ページ、132冊を出版した。「花」「風」「水」「傘寿」の各章に分かれ、約600首の句が載る。「短歌を知らない友人にも読んでもらいたい」と思い、読みにくい漢字には読み仮名をつけた。どの句も、日常に感じる心情の移り変わり素直に表現している。平成25年に夫を亡くした際の心境も綴っており、『五十年共に暮らせし幸せも過ぐれば儚(はかな)ひとつぶの泡』と心の内を句に込めた。また、『自由とは糸の途切れし凧のやう下で糸引く夫(つま)逝(ゆ)きたれば』と、夫が他界し“自由”になったはずが“不自由”を感じる事に気付いた今の心境を句に残した。中嶋さんは「人生は飾らずありのまま、素足で歩んでいきたいと思い今まで生きてきた。そんな私の人生が詰まった歌集」と笑顔を見せた。
【パステル画の寄贈を希望】
漫画を描くことが好きだった中嶋さん。平成9年から絵画の勉強を始めた。花や人物など、パステルで描かれた温かな作品約10点があり、希望者に寄贈したいという。中嶋さんは「福祉施設などで飾ってもらえれば」と期待を込める。興味のある方は[お問い合わせ]TEL:0773・76・6109 中嶋さん
(井上 務)
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