日展入選「15回目」の快挙~ 陶芸家 高井晴美さん
投稿日時:2019年12月13日(金)
舞鶴市内で陶芸家として精力的に活動している高井晴美さん(55)がこのほど、日本美術展覧会(日展)において15回目の入選を果たした。自宅の庭に窯を構え日々創作活動に精を出す一方、市内のこども園や老人ホーム、福祉施設などで講師として陶芸の楽しさ、奥深さを伝える活動も継続的に行っている。
成生で生まれ育った高井さんは幼いころから家の手伝いで田畑の土や砂に触れることが好きだったという。スポーツや音楽に熱中した時期もあったが、仕事として一生技術を磨き続けることができると考え芸術の道を選んだ。「本当に嬉しいです。毎年、毎回それぞれが別の日展ですから」これまでに手掛けてきた数々の作品の前で高井さんはとびきりの笑顔を見せた。日展は明治40年に第一回文部省美術展覧会(文展)が開催され、以後「帝展」「新文展」「日展」と名称の変更はあったものの現在まで続く日本の美術界をけん引する展覧会。今年で112年目を迎えた。日本画、洋画、彫刻、工芸美術、書の五つの部門で構成される総合美術展であり、その規模は世界でも類を見ないという。10代から100歳といわれるほど広範囲な年齢層の人が全国から応募する中での入選は極めて難易度が高いとされる。はじめての入選は高井さんが27歳の時だった。「一度決めたら続けなさい」師と仰いだ人の言葉に勇気づけられながら創作活動を続け入選を目指した。
高井さんは「時間はかかりましたが、陶芸家として仕事ができることに感謝しています」と話し、「初期の作品は今見るとどれも技術的に未熟ですが、一つひとつが自分の足跡ですね」と満足そうな表情で当時を振り返った。高井さんの作品は複雑な形状の物が多く、出展する作品は同じものを3つから4つ同時に手掛ける。陶芸作品は乾燥させ窯で焼く工程でひびが入ることがあり、ひびが入った物は出展できない。そのため一つしか作品として完成しないこともある。それでも複雑な形状に挑戦し、自分にしか表現できない形を作るために腕を磨き技術の向上を目指すことが楽しいという。こども園などで指導をすると園児らはとても楽しそうに土をこねる。年長組になると陶芸ができると楽しみにしている園児も多く「小さいころから土に触れることは良いこと」と考える高井さんを喜ばせている。市身障センターでも月に2回講師を務めており受講者からの信頼も厚い。「一番身近で私自身が学ぶことが多い場所です。いつも元気をもらっています。ありがたいですね」と微笑んだ。現在、JR東舞鶴駅前三条にある古民家を利用して、令和2年5月から開催予定の展示会の準備をしている。「陶芸家は地味な仕事ですが一人でコツコツと続けることが自分には合っているのだと思います」と話す高井さんの創作活動は未来に向けて大きく翼を広げようとしている。
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