JMUが舞鶴事業所での新船建造撤退を発表
投稿日時:2020年02月11日(火)
長年に渡って舞鶴の商工業をけん引してきたジャパンマリンユナイテッド(以下JMU、横浜市)が、舞鶴事業所での新船建造を2021年に終了すると発表した。地元経済界に与える影響は大きく、先行きを懸念する声が広がっている。
舞鶴鎮守府が設置されて間もなく、1903年に舞鶴海軍工廠が開設。以来終戦を迎えるまで重要な役割を担い、戦後は飯野重工業、舞鶴重工業、日立造船、ユニバーサル造船と変遷をたどり、2013年にJMU舞鶴事業所となった。同社は現状について「新造商船市場で世界的に過剰供給の状況が続く中、中韓勢大手の再編も進み、厳しい事業環境が続いている」とし、今回の決断により生産拠点の集約を進めて経営の効率化を図る。同社は昨年11月に、業界首位の今治造船(愛媛県今治市)と資本提携で合意。それ以降、取引先を中心に再編の影響が出るのではないかと先行きを心配する声が上がっていた。また昨年末には同社社内において、商船撤退の検討が行われているとの報道があった。それを受け1月8日に、府・市・市議会・商議所の4者で同社を訪問。継続の要望を申し入れたが、今回の経営判断に至った。同事業所で2018年には、プロダクトタンカー5隻、パナマックスバルカー1隻を建造。今後は、すでに受注している船の建造が終了予定の2021年第1四半期を目途に新船建造を終了し、防衛省艦船の修理に特化するという。同社はそれに伴い、同事業所の従業員約450人のうち、約300人を他事業所へ配置転換するとしている。下請事業者の一人は、「舞鶴事業所の業績は良いと聞いていた。他の事業所のツケを払う形でのこの結果は痛恨の極み。配置転換の社員さん以上に入っている下請け業者の従業員のことを思うと、今回の影響は計り知れない」と嘆いていた。同事業所の商船撤退について多々見良三市長は「今後は同社から詳しく説明を聞き、雇用などの不安が生じないよう万全を期して頂くよう申し入れ、商船に替わる新たな事業を展開して頂けるよう要請するとともに、市としても関係機関と連携しながら雇用対策等についてしっかりと対応していきたい」とコメントした。7日には、市長・京都府中丹広域振興局長・舞鶴商議所会頭・舞鶴公共職業安定所長・JMU舞鶴事業所長が参加し、「JMU舞鶴事業所対策会議」が開催されるなど、今後の対応策の実施について関係各所での協議が活発化している。舞鶴商議所では会員企業に緊急アンケート調査を実施し、実情を把握した上で有効な対応に努めるとしている。また、同会議所は「JMU関係経営相談窓口」を設置。午前9時~午後5時(土日祝日除く)で相談を受け付ける。TEL:0773・62・4600、桐村さん・矢野さん。
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