混迷の様相さらに副市長人事に不同意
投稿日時:2023年07月14日(金)
鴨田市長の市政運営
難局は続く見通し
市議会6月定例会最終日の3日、鴨田秋津市長の提案した副市長人事が反対多数で不同意となったことを受け、市民の間で波紋が広がっている。劣勢の予想を覆して当選した新市長が、思うような舵取りの出来ない状況で苦しんでいる。
鴨田市長が提案したのは福田豊明参事(63)を特別職の副市長に起用するというもの。市長選後すぐの3月定例議会でも鴨田市長は、元健康・子ども部長の福田氏を副市長に起用したいとし議会側と調整したものの、最終的に「現時点で同意を得るのは困難」との判断で議案提出を見送ったという経緯がある。
その後、福田氏を4月1日、議会の同意を必要としない部長級の参事として任用。この経緯についても、「参事には、その職責でしか成し得ない崇高な使命と責任があり、その使命を果たすために市長は任命をされたはず。にもかかわらず、わずか3カ月でその任を解き、副市長へと推薦する今回のような進み方には納得できない。今一度、任命権者として、任命責任の重さと任命者に与えられた職責について考えて いただきたい」とした野瀬貴則議員の発言や、「管理職に退職者を任用することは、若手職員のやる気を阻害すると、前市長に対して痛烈な批判をされていたにもかかわらず、部長職である参事に福田氏を起用する必要性があるとし、議会への説明が尽くされたと言い難い中での参事就任だった。それが机をひっくり返したように、突然の副市長人事案件が本日上程。市長としての過去の発言も含めたその行為は到底理解できるものではない」した山本治兵衛議員の発言など、計14人の議員がそれぞれの意見を表明した。人事案件は、議会最終日に提案され意見表明はしないことが慣例だったが、今回は異例の事態となった。
前市長体制時に強固な与党を形成した各会派は現在、市議会の多数を占める野党となり、当初からいわゆる「ねじれ」の構図が危惧されていた。今回の意見表明では、そのことが色濃く表れる内容となった。
提案への反対意見としては、6月26日毎日新聞朝刊に今回の人事案件についての記事が掲載されたことを受け、「議会に上程するまでに新聞報道で市民に公開されることは、特に人事案件については通常ありえないことであり、議会ルールを逸脱。議会との信頼関係を大きく損ねた」とした尾関善之議員や、「副市長の重要性を感じ、どういった役割を副市長に求めていくのかも含めて、その思いを しっかりと伝えていただき、このように会期途中に突然提案されないことを今後の対応として求める」とした眞下隆史議員など多数が表明。
一方、賛成の立場として、仲井玲子議員「舞鶴市民のためということを第一次的に考えて議案決定をしていきたい。舞鶴のためなら、経緯がどうだったか、手続きがどうだったかなど、作業過程の判断の分かれるようなことを細かく追求することは無意味」▽小西洋一議員「これまで人事案件については、従前から即決ということが慣例になっていた。市長が代わった途端に人事案件の採決の方法が変更されるという点についてはいかがなものか」▽高橋秀策議員「私は議員として33年目になるが、今回は今までの市長さん同様の手続きで何ら不備はない」などと真っ向から意見が対立した。
採決の結果は、賛成8票反対16票で不同意に(写真)。
この結果を受けて鴨田市長は、「市長就任から多くの市民の皆様と市職員に支えられて行政運営を担ってきたが、やはり副市長という存在が必要であるという認識で今回の人事案件を上程した。それはひとえに舞鶴市の更なる発展に必要不可欠だからで、市のために誠心誠意頑張ってくれると思っている方に就任していただきたいとお願いした。当然、議会対応についても、副市長を得てさらに充実した対応ができるだろうと思っていたが、本議案が否決されたことは痛恨の極み。舞鶴の発展を阻害されたと思っている」と表明した。
この日の議会録画を収めたユーチューブ動画は、7月9日時点で1326回視聴されており、今定例会の動画としては突出して多い視聴数となっている。SNSなどでも関心を寄せる市民の投稿が多く、混迷の様相が強まる市議会に対して心配する声や疑問を呈する声などが散見される。
今回の採決を受け、副市長不在の異常事態が続くことになった。民意を受けて就任した市長が、こちらも民意を受けて当選した市議に「NO」を突き付けられる。見通しの立たない混迷に風穴を開けられるのは、やはり民意しかない。市民の関心が高まったその先にしか、舞鶴の発展はない。
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