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夢が挑戦の原動力カフェBONOでオリジナル焙煎コーヒー

夢が挑戦の原動力カフェBONOでオリジナル焙煎コーヒー

投稿日時:2023年06月23日(金)

“おいしい一杯”を求めて

 来年度発行される新一万円札の顔となった渋沢栄一の「夢七訓」でもあるように、夢を持つことは幸福への第一歩となる。
 そんな一歩を踏み出すようにカフェBONO(浜)では、夢を抱いた一人の利用者の飽くなき探求心がつくりあげた「BONOオリジナル焙煎コーヒー」の販売が始まった。

 障害者が社会で活躍する就労の場として、社会福祉法人まいづる福祉会が運営するワークショップBONO。人気のランチメニューをはじめ、ケーキやコーヒーを楽しむことのできるカフェだ。
 これまでからもメニューにコーヒーはあった。しかし仕入れたものではなく、『焙煎から手がけたこだわりの一杯を出したい』そんな思いから、今回の販売への道のりは始まった。
 「お客様に『おいしい』と言っていただける時はとてもやりがいを感じます」そう言って満面の笑みをこぼすのは、BONOで働く長柄光徳さん(46)。同福祉会が運営する「カフェレストランほのぼの屋」で2年、BONOで8年の就労歴となる。
 BONOで働くうちにコーヒーに魅せられていったという長柄さん。車の運転が好きなことも手伝い、休日を利用して各地のカフェも巡った。そうした中で、『自分で豆を焙煎して淹れてみたい』という思いは強くなっていった。
 そこで支援員の田中友さんに相談するも、安くはない焙煎機などを購入するとあって即答を得ることは難しかった。しかし長柄さんの熱意に応えるように、運営側からのOKはでた。田中さんは「仕事熱心で、真面目に夢を追う姿を応援したいと思いました」と当時を振り返る。
 こうして昨年、長柄さんの『おいしい一杯』への挑戦は始まった。

 【理想の焙煎を追求】

 ブラジル産の生豆を仕入れ、いざ焙煎。しかし意気込みも虚しく、火力がつかめず一瞬で焦がしてしまうことに。次こそはと臨んだものの、今度は逆に火力を弱くするあまり、仕上がりまでに1時間以上も要してしまった。
 そんな風に失敗を重ねながらも根気強く理想の焙煎を模索。何カ月も向き合う中でようやく、色の変化やパチパチと聞こえる豆の音、ちょうど良い焙煎の見極めができるようになった。目指したのは、酸味が少なく飲みやすく、まろやかで口当たりのやさしいコーヒーだ。
 満を持してカフェでの提供が始まり、注文が入る度に「よし、おいしいコーヒーを淹れるぞ」と気合いが入るという長柄さん。一杯ごとに豆を計ってミルで挽き、湯を沸かし蒸らして、すべての工程を丁寧にこなしていく。
 しかし、ケーキセットの割引対象ではないせいか、仕入れコーヒーの方が選ばれることもしばしば。気合いの空回りを振り返る長柄さんは「(そんな時は)ちょっと複雑な気持ち」と眉尻を下げて笑う。
 だが、「すごくおいしい」「もう一杯飲みたい」というお客さんの声が背中を押してくれる。
 芳ばしい焙煎の香りが広がるカフェで、「ここみたいに大きな所は無理だから、小さな所になるとは思うけど」と前置きした長柄さんは、「ホッとひといきつけるようなカフェ。いつか、そんな自分の店を持つのが夢なんです」と目を輝かせた。
 丁寧に焙煎するため数に限りはあるが、「BONOオリジナル焙煎コーヒー」は450円(税込)で味わうことができる。夢へ向かう特別な一杯を、ぜひご堪能あれ。
 【『カフェBONO』浜1546―8▽10時~17時▽木曜定休日▽駐車場有▽0773・65・3388▽0773・65・2204】

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