芽吹きの春東西市街地でプロジェクト次々始動
投稿日時:2023年05月02日(火)
雌伏の時経て勇躍の季節へ
思い寄せ合い魅力を創造
コロナ禍が終息に向かう中、人の動きや街の変化が活発化している。私たちの生活が、様々な制限に縛り付けられたこの3年。長かった抑圧からの解放が、いよいよ本格化しつつあり、東西市街地でも様々なプロジェクトが動き出している。
東地区では、浜で13年間活用されずに空き家となっていた丹後瓦斯旧本社ビルがこのほど、クラウドファンディングによる民間からの寄付なども集めて生まれ変わった。1階ではカフェとファッション、アートを融合させたレストラン「GASS」が開業。16日のレセプションを経て、22日のオープン以来、多くの客が訪れている。
店を開業したのは、舞鶴市出身で京都市在住の玉川直樹さん(44)。京都市内の百貨店に勤める玉川さんが、これまでの経験や人脈を生かし経営に当たる。食事メニューは玉子サンドで有名であるという京都市の「喫茶マドラス」が監修。パスタやパンなどのランチを提供する。
「舞鶴の良さを次世代に引き継いでいきたい」という思いを持ち寄り、今回の大規模なリノベーションに踏み切ったのはいずれも40代の経営者3人。「空き家の再生による、まちなかの賑わいづくり」に取り組む契機となったのは、2年程前に行われた空き家巡り事業への参加だった。
PTA活動などを通じて親交のあった堀口宏之さん(49)と、名取貴春さん(48)、西村直紘さん(45)は、これまでにもそれぞれが積極的にまちづくり活動に参加してきた。
そんな中で訪れたコロナ禍。疲弊する街や人を目にするたびに「僕ら経営者が未来を描かなければ、子どもたちに引き継いでいけない」という想いが強まり、いつしか3人の思いが重なっていった。
また、広く寄付を呼びかけたクラウドファンディングでは、目標を上回る278万8000円もの寄付を得た。
堀口さんは、「応援金以上に、添えられた応援コメントに励まされ、勇気づけられました」と振り返り、「寄せられた期待を裏切らないよう、しっかり頑張っていきます」と抱負を述べた。
【西舞鶴の景観変える3棟目】
一方、西舞鶴のまちづくりに積極的に取り組むKOKINが17日、遊休古民家を活用して整備した宿泊施設の完成に当たり、内覧会を開催した。改修費用には、府内の3DMOと金融機関が共同出資して設立された「地域づくり京ファンド」を活用。ファンドから1千万円の投資を受けて、建物2棟を改修した。2棟のうち宰嘉庵本館は、すでに各所から多くの支持を集めていたが、昨年10月から休館に。高単価・高付加価値の1棟貸し古民家として生まれ変わった。定員は10人で、ペット同伴可能のプランも作る予定だという。
また、新たに開業する「宰嘉庵あおい」は、カフェラウンジを併設する中長期滞在者向け宿泊施設として整備した。こちらは家族で宿泊することを想定した個室の宿。朝食会場も設けた。
同社が運営する施設は、他に「宰嘉庵かなで」があり、近隣の3施設を合わせて30人を超える宿泊者を受け入れることが出来る規模になった。
同社代表の大滝雄介さんは、「元々は12年前に西舞鶴の城下町風情を守りたいという想いで、場作りから始めたのがKOKINの活動です。この国道沿いの町家にオレンジの明かりが灯って街の顔になったらいいなあと思っていた当時の思いが、こういう形でまた一つ結実して感無量です」と話していた。
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