小学生柔道家が金字塔
投稿日時:2020年02月25日(火)
福井市の福井県立武道館で9日、「第12回福井県オープン少年柔道錬成大会」が開催され、3年生の部に初出場した浅井大輝君(中筋小)が、並み居る強豪を退けて初優勝の栄誉を勝ち取った。
同大会は、主に北陸で柔道に打ち込む小学生たちが集い、日頃の練習成果を競うオープン大会。福井県の強豪チームはもとより、石川県、富山県をはじめ、滋賀県や愛知県からも参加する、小学生の大会としては福井県で最もレベルが高い大会だという。全国大会出場常連の県チャンピオン選手クラスが集う大会とあって、関係者の注目度も高い。浅井君が所属する「西舞鶴柔道教室」は6人の精鋭をそろえて、今回が初めての出場だった。強豪選手がひしめき合う大会とあって、同教室所属の京都府チャンピオン・森脇花乃さん(明倫小5年)でさえ2回戦で敗退と、レベルの高さに苦杯をなめさせられる展開が続いた。そんな中、74人がエントリーした3年生の部で、浅井君の快進撃が始まる。大きな大会に初出場の選手とは思えない落ち着いた試合運びで、圧巻の勝ち上がり。決勝の相手、福井市の名門クラブ「総斗會少年柔道クラブ」所属の中野心晴君も寄せ付けず、開始後20秒での一本勝ちの圧勝劇で大会を締めくくった。まさに「あれは一体誰なんだ」と、北陸勢が目を見張った戦いぶりだった。
【飛躍のきっかけはひとつの敗北】
浅井君が柔道を始めたのは小学1年生。当時から人一倍身体が大きく、教室関係者の目に留まった。回転寿司に行けば20皿は楽に平らげるという浅井君は、現在148センチで74キロと恵まれた体格の持ち主。しかし、入門当初から指導に携わる同教室の副監督・鴨田秋津さんは、「浅井君は身体が大きいだけの選手ではない」と評し、「器用で身体の使い方が非常に上手い。また謙虚で、何より努力家であるところに将来性を感じる」と更なる成長に期待を寄せる。現在、教室の開催は週一日。それ以外の日は、父の久志さん(47)を相手に練習を重ねているという。柔道は全くの未経験だったという久志さんは、「頑張る息子を見ていると、いてもたってもいられなかった」と慣れない道着に袖を通し練習に付き合う。久志さんは、「この間初めて投げ飛ばされました」と豪快に笑った。そんな親子の練習が本格化したのは、昨年の夏以降。ひとつの敗北がきっかけだった。連戦連勝だったことからの気の緩みだろうか。宮津市で開催された大会で、兵庫県の選手に敗れたのだ。体格で勝るアドバンテージを活かせず、完敗の内容だった。「そこから目の色が変わった」と久志さんは振り返る。「体格は大事。だけど、最後に勝敗を分けるのはやはりメンタルの強さ。浅井君は、敗北によってその部分の補強が出来た。今回の優勝はその結果だと思う」と鴨田さんは話した。「とにかく誰が来ても勝ち続ける」とこれからの抱負を語った浅井君。謙虚で努力家、負けず嫌いと、スポーツ選手に必要な性質を併せ持つ逸材。今後の大いなる飛躍を期待したい。
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