市内各所ではじまりの時
投稿日時:2023年04月18日(火)
日星高看護科・世代間交流で次へのステップ
つながりが育む実りの日々
アフターコロナの課題と向き合いながらも、少しずつ日常を取り戻しつつあるこの春。いつになく暖かい日が続き、例年より随分と桜の開花も早まった。花びら舞い散る中、市内各所で行われた入学式。確かに重ねた経験や自信を胸に、多くの人が新たなスタートを切った。
専門分野に特化する日星高看護科もそのひとつ。昨春、新たに門をくぐった生徒らは、1年間様々な経験を積み、次のステップを踏み出した。
また同科では昨年度から、新カリキュラムとして基礎看護科目に「地域・在宅看護論」が加わった。そうしたことも背景に生徒らは1年、地域と交流を重ね様々なことを学んだ。
舞鶴市老人クラブ連合会を通して健康体操に参加し、地域清掃や古紙回収の手伝いなどにも汗を流した。また茶話会では、生活の中で高齢者らが抱える「困りごと」について聞き、熱心に耳を傾けた。
【世代間交流が学びの集大成】
そんな活動を続けて3月には、集大成ともいえる交流の場がもたれた。余部下の中総合会館で開かれたのは、ワナゲやボッチャを通した交流大会。舞老連(新谷一幸会長)の役員や看護科1年の生徒それぞれ約20人が参加した。交流とはいえ“大会”とあって、舞鶴市レクレーション協会から5人が訪れ審判を務める本格進行。時間の経過とともに距離を縮めた参加者らは、心地良い緊張感の中にも楽しげな雰囲気に包まれた。
「本当だったら今のはアウトですよ」としながらも、『楽しいコミュニケーションの場を届けよう』をモットーに活動する同協会の浦田寛さんは、「今日は楽しんでもらうことが最優先」と笑顔を見せると、交流に重きを置いたやさしい判定で、その場を見守った。
「そうそう、うまいうまい!」と身振り手振りで子どもらに投げ方のコツを伝える高齢者、「あッ!全然違うところいった!」と声を上げる生徒。年齢差による壁を感じさせない空気間の中で、それぞれが歩み寄りコミュニケーションをはかっていた。
その様子を前に、「入学したての頃は想像もできなかった」と振り返るのは、看護科で生徒らの指導にあたる蝦名りかさん(60)。地域でのつながりが希薄化する昨今、「子どもらが高齢者と接する機会は極端に少ない」といい「始めは、とにかくどうしていいかわからず、コミュニケーションどころか敬語も使えなかった。それがこんな風に自然に声を掛け合えるようになるなんて」と目を細めた。
続けて、「これから看護の道へと進む上で、病院の中の高齢者を知ることはある。でも、そこへ来るまでの生活や活動を知る機会は少ない。こうした高齢者との交流を通して、今後必要とされる看護を見つけるきっかけになると思う」と話した。
ボッチャをするのはこの日が始めてだという石倉陽葵さん(16)は、「体を動かしながらコミュニケーションがとれて楽しかった。ここでの経験を活かして今後につなげていきたいです」と笑顔を見せた。
舞老連としては、「世代間交流」と位置づける取り組みの一環。みずみずしい生徒らとの交流に新谷会長は、「楽しい時間を過ごせて、会員はみな元気をもらえました。こうした交流は気持ちが若返りハリが出て、とても刺激になります」と目じりを下げた。
老いも若きも、弾ける笑顔に活気づいたホール内。元気いっぱいの笑い声がこだまする交流の中で、それぞれが育んだものはきっと、これから大きな実を結ぶに違いない。
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