未来に架け橋を
深く学ぶ総合学習で成果
社会問題に挑む子どもたち
純粋な瞳で課題の解決を
投稿日時:2023年03月14日(火)
様々な課題が錯綜し、混迷の様相が強まる一方の現代社会。こうした社会の変化は大人だけの問題にとどまらず、子どもたちの置かれている環境にも大きな影響を及ぼしている。
牧歌的な昭和の時代とは隔世の感がある現状の中、子どもたちもまた、社会との関わり方を模索しながら成長している。
市内随一のマンモス校である中筋小では今年度、5年生児童たちが「共に生きる」というテーマで総合学習に取り組んだ。多種多様な人間が生きる中で、子どもたちが「自分」以外の人間に興味を持ち、関心を抱き、他者意識の醸成と他者理解に努められるようにすることが目的だ。
4つあるクラスではそれぞれ、「ジェンダー」「外国人居住者」「障がい者」「高齢者」と別々のテーマを設定。児童数27人の5年4組は、「ジェンダー」のテーマで学習を進めた。児童らは、1学期に興味のある分野を細かく調べ、2学期にプレゼンテーション動画などを作成しクラス内で発表。3学期には、自分たちが学んできたことを広く発信するべく、様々な準備を進めている。
一年を通じて積極的に取り組んだという樽谷莉奈さんと山口瑚心さんは、「街でそういった人を見かけると、今までなら避けたりしていた。取組みを通じて世界が広がった。学んだことが世の中に広がるよう、今できることを探していきたい」と今後の抱負を述べた。
児童らの指導に当たった米澤千尋教諭(34)は、「私も幼いころに名前をからかわれることがあり、男っぽい名前にあこがれたことがある」と振り返る。先進的な考えの母が名付けた名前は、絵本作家のいわさきちひろにちなんだものだといい、「個性的で、今はとても気に入っています」と笑顔を見せる。取り組みを総括し米澤教諭は、「自分が教師になった頃に比べると、時代は大きく変わったと実感している。今後、広い社会に出ていく子どもたちが、今こうしたことを深く学ぶことはとても意義深いと思う」と満足感を漂わせていた。
【地域と連携 やる気が広げる支援の輪】
一方、中舞鶴小6年1組の児童らは、近隣住民を悩ませる「放置竹林問題」に取り組んだ。きっかけとなったのは、4月に「地域や学校で困っていることはないか」と話し合った時のこと。「通学路に茂った竹林が邪魔だ」という話が出て家で聞いてみると、昔をよく知る家族から「昔は原っぱだった場所だ」と教えられたのだという。そのことを再び皆で話し合い、「竹を伐採して広場にしよう」と発案。チラシを作って近所の人たちに協力を呼びかけると、保護者や近隣住民がボランティアとして伐採に協力した。
景観は随分とすっきりしたが、次は伐採した竹の処分が問題に。「折角だから役立つよう出来れば」と考えていたところ、おもちゃ作りの講師を務めたこともある画家の稲岡博さん(73)が協力を申し出た。
何度か学校を訪れて、竹製のおもちゃ「竹ッコロ」などを製作した稲岡さんは、「3日で1メートル以上伸びる竹は生命力にあふれている。竹のそばにいるとテンションが上がっていく」と話し、興味深そうに聞き耳を立てる子どもたちに、「人生はまっすぐではない。波打つようなこともあるが、試練が訪れてもいつかは終わる。沈んでもまた浮かび上がればいい」と語りかけていた。
竹細工に取り組んだ朝川日葵さんは、「稲岡さんと出会って、竹ってこんなに使えるんだと驚いた。上手く作れると達成感があります」と目を輝かせていた。
佐藤俊介さんは、「自分たちで伐ってきた竹で作品が出来てとても楽しかった。放置竹林の問題には、今後も取り組んでいきたい」と抱負を述べていた。
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