宝の海 タスキつなぐ
青井育成会・マガキ等直売の「土曜市」開催
若手とベテランがスクラム
ふるさとの再生へ思いはひとつ
投稿日時:2023年03月10日(金)
人口減少と少子高齢化に伴い、急速に過疎化する集落が全国で増え続けている。国はそうした現状に対し地方創生への取り組みを喧伝するが、目に見える成果はなかなか上がっていないのが実情だ。やはり結局のところ、地方を変えられるのは、その土地の内側から湧き上がる力に他ならない。そんな中、当地でも郷土の活性化を目指す若手漁業者が立ち上がった。
青井地区にある青井共同作業所で4日、マガキなどの海産物を直売する「土曜市」が開かれ、多くの買い物客でにぎわった。マガキの養殖が盛んな同地区では、以前は青井カキ組合の運営で直売所が開かれていたが、長らく休眠状態だった。小畑克幸組合長(52)は、「組合員は今6人しかいないが、私が漁師になった20年ほど前には20数人位いた」と振り返り、「高齢化も進んで直売所の運営が出来なくなり、せっかくの場所が宝の持ち腐れだった」と話す。青井地区のカキは以前から評判がよく、直売所の開設を求める消費者の声もあったが、「手が回らない」という状況が続いていた。
転機が訪れたのは昨年。舞鶴市のふるさと納税返礼品に「青井牡蠣セット」が選ばれたことをきっかけに、「直売所を再生しよう」という声が上がったのだ。その中心となったのは、青井と吉田の若手漁業者8人で昨年7月に結成された「青井育成会」。小畑組合長の呼びかけに呼応する形で話は進み、会のメンバーが資金を出し合ってカキの殺菌装置を購入。安全性をより高めて、土曜市の開催にこぎつけた。
【「美味しい」のひと言は地域活性の魔法の言葉】
育成会の会長を務める髙田亮さん(36)は、吉田地区の出身。整体師として生計を立てる父のもとで育ったが、幼い頃から漁師の祖父を手伝っていたという。
長じてからは、トラックドライバーになった髙田さん。会社員として熱心に仕事に取り組んでいたが、祖父がなくなってから「海への思い」が日増しに大きくなっていった。
「気づいたら漁師になっていました」と髙田さん。自然相手の仕事は難しいことも多いが、上手くいったときの達成感は「他では得られない喜び」だと笑顔を見せる。土曜市の開催について髙田さんは、「お客さんに『美味しい』と喜んでもらえるのは、モチベーションになります。直接、消費者の声をいただくことで、よりよい商品づくりに生かしていきたいです」と力を込めた。
一方、若手との連携を見事に成し遂げた小畑組合長は、「この地区は、美味しいカキができる良い漁場。何としても守っていかなければならない。若い人がこの地区に魅力を感じてくれることは、本当にうれしい限り。これから表舞台で活躍するのは若い世代。私たちは、裏側からしっかりと支えたいです」と第一歩を踏み出した「直売所の再生」を喜んでいた。
土曜市では、殻付きマガキや鮮魚等を販売する。今年は3月下旬から4月上旬ごろまで開催の予定。
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