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郷土の歴史に思いを馳せて<br>住民ら「北前船」や伝統の祭礼を学ぶ<br>受け継がれた故郷の文化 守り育み次世代へ

郷土の歴史に思いを馳せて
住民ら「北前船」や伝統の祭礼を学ぶ
受け継がれた故郷の文化 守り育み次世代へ

投稿日時:2022年12月09日(金)

 コロナ禍3年目となる今秋、以前のようにとはいかないまでも市内各地で伝統行事が開催されるなど、季節のにぎわいを取り戻しつつある。だが神崎の「湊十二社祭礼」は今年も中止を余儀なくされた。そんななか同地区で郷土の歴史を再認識する機会が設けられ、参加者らは地域への思いを新たにした。

 「丹後神崎と由良川の歴史文化」と題した講演会などが11月23日、西神崎の神崎児童センター「まいまいハウス」で開かれた。
 主催したのは北前船広域ネットワークとSKY舞鶴クラブ。3年連続となる祭礼中止の報を受け「せめて地域の歴史や文化を見つめ直し、新たな地域の魅力を発見する機会になれば」と企画した。
 当日は開場と同時に過去の映像をスクリーンに映し出すなどして「湊十二社祭礼」を紹介。東西神崎地区の氏神・湊十二社の祭礼は、例年10月の第2土曜日(宵宮よいみや)と日曜日(本宮ほんみや)の2日間にわたり地区をあげて行われるもの。また、黒紋付き羽織袴の年輩者が扇子をもって踊る奉納舞『扇踊り』は京都府登録無形文化財でもある。
 講演で講師を務めた京都府丹後郷土資料館の稲穂将士氏は扇踊りについて、「踊子が手にする扇のひらめきが印象的でこの名前がついている」といい「丹後に広く分布する笹ばやしの一つであるが、この形態のものは例が少ない」と紹介した。このほか、由良川と人々の営みを始め、江戸時代中期~明治時代にかけて、北海道から大阪を往来した北前船についてなど、様々な史料をもとに解説。参加者は熱心な様子で耳を傾け、郷土の歴史に対する理解を深めていた。
 市内外へ向けて、地域の魅力を発信する活動を続けるSKY舞鶴クラブの吉武恭子会長は冒頭のあいさつで、神崎の人や歴史に魅せられた経緯、周辺の美しい自然についてふれた。またこの日が自身の90歳となる誕生日でもあると明かした上で「私にとって記念すべき日に、大好きな神崎の地で『北前船』の講演が聞ける喜びをかみしめています」と歴史文化に思いを馳せた。

神崎音頭保存会による「神崎音頭」で幕を開けた講演会

 【月に一度は腕磨く 地域の大切な踊り】
 またこの日オープニングを飾ったのは、16人の地域住民らで結成する神崎音頭保存会による「神崎音頭」。同地区に古くから伝わるもので、塩作り作業を踊りにしたことから別名を「塩汲み音頭」という。
 音頭をとる人と踊る人が独特の節で掛け合う踊りで「一般的な盆踊り音頭に比べ少し複雑で難しいかもしれない」と話す会員ら。
 本来は毎年盆に踊る地域伝統の音頭で“腕が鈍らないよう”月に一度は集まって皆で練習に励んでいる。久しぶりの発表の場については、「励みになるし気合が入った」といい「今日はよく声も出ていたし練習よりもずっと良かった」と笑顔を弾けさせながら満足感を漂わせた。
 「小さい頃、おばあちゃんに教えてもらった」と笑顔で振り返りながら、かくしゃくと話す池上悦子さん(95)は、若手が少ないことを懸念しつつも「受け継いできた大切な踊り。自分が教えてもらったように、次の世代へと順番に遺していければ」と願った。(2022.12.6発行)

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