行動力が未来を変える
若浦中1年生「服のチカラプロジェクト」を推進
目標は1万枚・不要になった子ども服を難民に
投稿日時:2022年11月01日(火)
「経済至上主義」が長く続いてきた現代社会。そのために偏った社会構造は数多くのひずみを生み、気候変動などの地球環境の変化をはじめ多くの問題が噴出している。しかし改善への明確な処方箋がないからと言って、現状を甘受するだけでは未来は変わらない。当地でも、次代を担う子どもたちが、そうした当事者意識のもとで地道な活動に着手。少しずつ成果を実感し、次の行動へ向かうエネルギーをみなぎらせている。
若浦中の1年生たちが、ユニクロの展開する「服のチカラプロジェクト」に参加している。2013年から始まったこのプロジェクトは、ユニクロがUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)とともに取り組む、小・中・高校生が対象の参加型の学習プログラム。同社社員による出張授業を受けたのち、子どもたちが主体となって、校内や地域で着なくなった子ども服を回収し難民などの服を必要とする人々に届けるというものだ。
プロジェクトへの参加を決めたのは、総合学習で取り組んだゴミ拾いがきっかけとなった。生徒たちの発案で「探Q夢未来学」と名づけられた総合学習で4月、生徒たちは学校から青葉山ろく公園までの区間でゴミ拾いを実施。予想以上のゴミの多さに、「SDGs未来都市に指定されている街として、この現状はとても残念」といった意見が、振り返りの授業の中で数多く出たのだという。
そうした流れを受けて、「自分たちに出来ることが何かないか」と話し合った結果、ユニクロのプロジェクトへの参加を決定。同社から出張講師を招いて、取り組みが始まった。
「総合学習では、生徒たちの自主性に任せている」と担任の水谷省吾さん(31)の立てた方針のもと、生徒たちはアイデアを出し合い具体的な取り組みを実行に移していった。
大人と折衝する機会もあることから、プロジェクトリーダーとなった7人は名刺を作り、名刺交換の練習を各自がするなど様々な活動を展開。夏休みを利用して生徒それぞれが試験的に取り組んだ成果発表を受け、反省点や良かった点を反映したチラシ作りなどにも精力的に取り組んだ。
また、プレスリリースの作成や小学校・保育園・地域の施設などに出向いてプレゼンテーションしたりと、多岐にわたる活動で賛同する人は少しずつ増えて、集まった子ども服は3000枚に近づくまでになっている。協力を申し出た人の中には、同校の1期生だという滋賀県在住のOBがいるなど、地域を超えて運動は広がりを見せている。
水谷さんは、「子どもたちが日に日に変わっていく。これまでの教師生活でも見た事がない子どもたちの変貌に驚いている」と話し、「クラスのコミュニケーションが活発になっている。これは学力以上に社会で生きてくる能力だと思う。取り組みを進める中で課題も見えてきたが、それをどう解決するか、みんなのアイデアを形にして対処していく中で、今後の子どもたちの成長がとても楽しみだ」と期待を寄せた。
プロジェクトリーダーの一人である有馬隆太さんは、「難民や世界の人を救うと口に出すのは簡単。実際にそんなことが出来るのかと思っていたけど、服がこうして集まってくることで、自分たちのやっていることが大きな力になることを実感している。次は大好きな舞鶴に目を向けて、僕たちの街がもっと良くなる取組みも考えていきたい」と目を輝かせた。
酒井遥加さんは、「最初は本当に集まるのかな、どうやって助けられるのかなと、不安な気持ちばかりだった。でも服が実際に集まってくることで、これで誰かを救える嬉しさがこみあげてきている。今回のことで行動力が身についた。環境問題などで困っている人は多いので、人の役に立てるような人間になっていきたい」と力を込めた。
同校では11月1日まで服の回収を受付。対象となる服は160㎝までの子ども服。汚れている服・小物類(靴下・帽子・ベルト・下着等)は回収不可▼問℡0773・64・0800、同校。
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