舞鶴地方史研究会
田辺藩の村々の個性を探る
7月例会に35人参加
投稿日時:2022年08月09日(火)
西総合会館でこのほど舞鶴地方史研究会の7月例会が開かれ、会員ら歴史愛好家35人が集まった。
この日の講師は、本紙連載「舞鶴の山城」の筆者である廣瀬邦彦さん。「田辺藩の村々の個性を探る~『田辺藩土目録』GIS化の試み~」をテーマにした講演に、集まった会員らは熱心に耳を傾けた。
「田辺藩土目録」とは、田辺藩の村々の田畑の面積、石盛、石高、年貢などの詳細な情報が村ごとに記された貴重な資料。しかし、情報量が多すぎることやそもそも数字の羅列であるため多角的な分析が困難なものだった。
そうしたことから廣瀬さんは、埼玉大学の谷謙二氏が開発したフリーソフト「MANDARA10」を使用し、地図上で「土目録」からの様々なデータを可視化する取り組みを行った。
その中の例では、田畑の面積などを村ごとにグラフ化。田畑の多い地区やそうでない地区の差が一目瞭然に。田の面積では行永が最も多く、神崎は無しとなっていた。一方で人口は、行永の699人を神崎は上回り794人もあり、同様に田の面積が少なかった由良に至っては1810人もあった。当時の由良や神崎では製塩が行われていたといい、村人の生業が全く違っていたことがよくわかる。
また、燃料薪の出荷に対する課税と考えられる「木売役米」では、由良と神崎には実績がない一方、野原や三浜には多かった。他地区では、消費地である市中に近い場所で実績が多かったこの税。野原や三浜の近所には大きな消費地はなかったことから、火を盛んに使う製塩の燃料として、海路で由良などに運んでいた可能性が考えられるとの推測が語られた。
参加者の一人は、「目で見て、地形と産出物などの相関関係が分かることから、色々な想像が膨らみます。当時の暮らしに思いを馳せることができました」と満足感を漂わせていた。
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