寄り添う心で明るい社会を
社会を明るくする運動
3年越しの企画実施
音楽フェスティバル同時開催で新たな一歩
投稿日時:2022年07月19日(火)
安心で安全な暮らしはすべての人の望みである。しかしテレビや新聞では毎日のように、どこかで起こった事件や犯罪のニュースが流れている。取り締まりを強化し罪を犯した人を処罰することも必要。だが重要なことは、立ち直ろうと決意する本人の強い意志とこれを支える環境にあると言える。犯罪の防止と罪を犯した人たちの更正について理解を深め、犯罪や非行のない明るい社会を築こうとするイベントが、今回新たな取り組みとともに開催された。
犯罪の防止と更生保護活動の推進を目的に総合文化会館大ホールで9日、第72回「社会を明るくする運動」舞鶴地区推進大会が開かれた。また今回初めて、市内5中学校が参加して合唱や吹奏楽を披露する「舞鶴音楽フェスティバル」も同時開催。コロナで延期となっていた3年越しの企画で、生徒や保護者らなどこれまでにない幅広い年齢層へ活動をアピールし、『運動』への理解を深める確かな一歩を踏みしめた。
「社会を明るくする運動」とは、すべての国民が、犯罪や非行の防止と犯罪や非行をした人たちの更生について理解を深め、それぞれの立場において力を合わせ、犯罪や非行のない安全で安心な明るい地域社会を築くための全国的な運動。またそのために一人ひとりが考え、参加するきっかけをつくることを目指すもの。
保護観察とは、犯罪をした大人や非行をした少年を社会の中で更生させるための制度であり、刑務所や少年院に収容される施設内処遇に対して、社会内処遇と呼ばれる。また保護司制度とは、保護観察という刑事政策の一翼を民間の篤志家である保護司が無給で担うという、世界でも余り例を見ない制度。
市内では50人からなる舞鶴地区保護司会(桑村信慶会長=68=)を中心に、協力雇用主会など様々な地域ボランティアが協力して更生保護に関する取組を行う。また保護司は、刑務所や少年院から社会復帰する際、スムーズな地域生活を送れるよう釈放後の住居や就業先などの環境調整・相談を行っている。
32歳で保護司となった桑村会長は、長きにわたり様々な罪を犯した人たちを更生へと導いてきた。
「100人いれば100パターンある」としながらも桑村会長は、「たとえ嘘だったとしても、本人が言うならそれを信じて耳を傾け、しっかり話を聞くようにしています」と“寄り添う”ことに重点を置いた活動を心がけてきたと話す。
しかし、うまくいくことばかりではない。
今年37年目に突入した活動を振り返り「本人が立ち直ろうと思っても社会から拒否されたり受け入れられないことに苦しむ人も多い。再罪を防ぎ新たな被害者を生まないためにも、きちんと仕事につき家を持つことが大切」とし、そのために欠かせない地域での見守り、理解を深めることの必要性を口にした。続けて、約450人を集めた今回の音楽フェスティバルを終えて「これまで知らなかった人にパンフレットを手にしていただいたというだけで前進です」と確かな一歩に喜びを滲ませる。
コミュニケーションを大切にしながら感情的になることなく、更正を誓う人にしっかり寄り添う。そして再び地域社会へと送り出す。決して認知度が高いとは言えない保護司の存在あってこそ成り立つ「更生保護制度」。
これらを知り一人ひとりが理解を深めることで、真の「明るい社会」となることを願ってやまない。
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