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中心市街地の未来は<br>現実と乖離する「舞鶴版コンパクトシティ」<br>旗振る行政は実効性のある施策を

中心市街地の未来は
現実と乖離する「舞鶴版コンパクトシティ」
旗振る行政は実効性のある施策を

投稿日時:2022年05月17日(火)

 舞鶴市の人口が、今から20年後には6万人台で推移することが予想される中、市は「舞鶴版コンパクトシティ」を目指したまちづくり施策を展開している。一方、市内商環境はここ数年間激変を続け、空洞化が進む中心市街地では、いよいよ「待ったなし」の状況が本格化している。

 舞鶴商工会議所(小西剛会頭)が6月5日、市内商店街37地点で通行量の調査を実施する。これは、昭和50年から毎年行っているもので、市内の商業振興を考える上での重要なデータと位置付けられている。調査はこの2年間、コロナ禍の影響を受けて中止となっており、今回は3年ぶりの実施が予定されている。
 前回の調査が行われた令和元年6月2日には、市内37カ所で午前10時~午後5時までの間(昼休みは1時間)に、徒歩及び自転車を利用している通行人の数を計測。総数は8511人という結果だった。これは、同調査が開始されて以降ピークとなった昭和56年の6万4662人から、実に86%の大幅な減少を記録するものとなった。(※ただし、この時の調査地点は57カ所)
 前回調査の前年である平成31年には、さとう西舞鶴駅前店が閉店。変わって京田に、「ジュンテンドー西舞鶴モール」が開店するなど、「都市的土地利用の郊外への拡大を抑制すると同時に中心市街地の活性化を目指す」というコンパクトシティの考え方に逆行する流れが数字に反映され、過去最低の通行量となった。
 コロナ禍に見舞われて社会環境が激変した現在、3年ぶりの調査で、どのような数字が出てくるかに注目が集まっている。

撤去する予定の商店街アーチ


【商店街の今後は 激変する西地区の今】
 西舞鶴駅前の国道沿いに展開する新世界商店街振興組合(松本泰理事長)では現在、商店街の今後を見すえた取り組みが進み始めている。
 正会員数が20と、最盛期から半減以上となっている同組合は、数年前から資産の売却などを進めており、かつては重要なインフラであった資産を整理する方針を固めている。そうした決断の背景にあるのは、資産の維持・管理が近い将来に困難になるのではないかと危惧される現実だ。
 老朽化したアーケード等、維持管理の難しくなった施設で事故が起きる事案が、全国で見られるようになって久しい。管理責任のある組合等は会員減少などで弱体化し、設備更新はもとより解体撤去も多額の費用をねん出するめどが立たず、問題解決を先送りするケースが多い。
 松本理事長は、「処分できるうちに何とかしたい。身軽になれば、攻めの手立ても打てるようになる」と話し、今月中には商店街のシンボルであるアーケード撤去に踏み切ることを明かした。
 同様に、西地区の平野屋商店街振興組合(泉博文理事長)も昨年、商店街入口に設置していたアーケードを1基撤去した。同組合もまた、今後を見すえて資産の整理を進めている。
 一方、西地区で唯一アーケードを有するマナイ商店街振興組合(岩崎光哲理事長)は昨年、アーケードの柱99本の塗装工事を敢行。老朽化により美観を損ねていた柱に色とりどりの着色を施した。総事業費は約600万円。府市の助成金を活用したものの、自己資金も約200万円をかけての投資となった。同組合は現在、会員数が30と、全盛期の124から激減している。かつてしのぎを削った「さとう西舞鶴店」も姿を消した今、次なる時代の商店街のあり方を模索する日々が続いている。
 道路整備が進む西地区では、それに伴った店舗の移設・新築など、都市機能が大きく様変わりしようとしている。
 その中で、わが街は如何にして「舞鶴版コンパクトシティ」を目指すのか。耳ざわりの良い言葉だけではなく、実効性のある行政のてこ入れが、今こそ待ち望まれている。

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