桜が耕す地域力
南福祉協議会「さくら功労者」団体表彰を受賞
地道な努力で一体感
郷土愛が作る強い地域
投稿日時:2022年05月10日(火)
3年ぶりに行動制限がなかったこの春、市内各所では天候にも恵まれ、豊かに花をつけた桜が市民の目を楽しませた。そんな中、東舞鶴公園周辺で有志により続けられている「さくら再生事業」が、日本さくらの会主催の「さくら功労者」団体表彰を受賞した。
「令和4年度さくら功労者」として表彰を受けたのは、南福祉協議会(村尾幸作会長)。同会は平成29年の設立50周年を機に、東舞鶴公園の桜の植樹や剪定、施肥などの環境整備を中心とした「桜再生プロジェクト」に取り組んでいる。今回の受賞では、地域の老若男女が結集して事業を推進する団結力などが大きな評価を受けた。
「日本さくらの会」の設立は、東京五輪開催の昭和39年。桜の愛護、保存、育成、普及等を目的とし、船田中衆議院議長が初代会長を務めた。当時は急激な国土開発や公害などにより、桜を取り巻く環境は全国的に悲惨な状況にあり、その復興が急務となっていたことが設立の背景となった。
かつては市内有数の桜の名所だった公園を再生する取り組みは、「日本さくらの会」設立の志と重なるもので、村尾会長は受賞を喜びながら「今後、事業を継続発展させていく上で、大きな弾みがついた」と今後を見すえた。
【根気よくやれば花は咲く】
かつて軍用地として接収されていた同公園は戦後になって返還され、昭和30年頃に約100本の桜が植樹されるなど整備が進んだ。
以来長らく、サクラの名所として賑わった同所だったが、近年になってからは木々の手入れが行き届かないこともあり、花数の乏しい木々が目立つようになっていた。
「そんな桜の様子を見ていると、人口減少や高齢化にあえぐ地方都市の姿と重なる思いがした」と振り返る村尾会長らは、一念発起。「みんなで手をかけて世話をすれば、立派な花を咲かせることが必ずできる」という樹木医の言葉を糧にし、地道な作業にまい進した。
28団体からなる同協議会に関わる多くの人々の協力を得て、少しずつ生まれ変わった同所。雑草や雑木は取り除かれ、「憩いの場」が再生するにつれて、訪れる市民の姿も増えてきた。
また、この春には「第2回さくらまつり」が開催され、多くの地元住民らが花見を通じて郷土愛を確かめ合った。
今回の受賞はあくまでスタートラインとする村尾会長は、「根気よくやれば花は咲きます。これは何も桜に限ったことではなく、地域も一緒だと思います。今後は、この公園を中心にして『桜で未来につなぐ元気な南舞鶴』の実現を目指していきます」と力を込めた。
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