京都府が実証事業
水素による燃料電池式
フォークリフト・脱炭素社会を目指して
投稿日時:2022年03月22日(火)
京都府はこのほど、舞鶴港周辺で取り組んでいる水素を使った燃料電池フォークリフトの実証事業を、報道関係者に公開した。
府は北部地域における水素サプライチェーンの構築を目指し、燃料電池フォークリフトの試用を通じて、移動式水素ステーションを活用した経済的・効率的な水素供給モデルの構築を図っている。この事業では、トラックを使った移動式水素ステーションが巡回して燃料を供給する仕組みを採用しており、こうした形式での実証は全国初になるという。
事業は、府からの委託によって「ヤマト・H2Energy Japan」(大阪市)が実施。同社が手配した燃料電池フォークリフト2台を、3カ月間に渡って「舞鶴倉庫」が日々の業務に使用した。
舞鶴倉庫が舞鶴港地区で使用するフォークリフトは現在のところ約20台。そのうちの約6割がバッテリー式で、残りが軽油を燃料とするディーゼル式だという。ディーゼル式は排気の臭気が問題となり、バッテリー式は充電時間の長さが問題となる。
一方、水素による燃料電池式のものは、バッテリー式で8時間かかっていた充電時間が約3分で完了する手軽さがセールスポイント。フォークリフトを運転する舞鶴倉庫の石田知也さん(29)は「充電に時間がかからないので、繁忙期など継続して作業がある場合にも効果を発揮する。排ガスも出ないため荷物へのにおい移りを気にすることもない」とメリットを口にした。
同社の中西隆裕舞鶴事業部長(59)は、「水素は怖いという先入観があったが、3カか月間で払しょくできた。利便性はあるが、導入にはコスト面をいかにクリアするかが課題となる」と話した。
府エネルギー政策課の担当者は実証を終えて「実用化に向けては、需要の創出と供給体制の確立の両輪をしっかりと機能させる必要がある。舞鶴港の後背地には、福知山の長田野や綾部の工業団地があり、ビジネスベースで採算がとれるようにするには、こうした需要をいかに取り込んでいくかが課題となる」と話していた。
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