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「触れて見る」展示物を<br>舞鶴高専・3Dプリンターで制作の引揚船など寄贈<br>情報のバリアフリー化<br>誰もが学べる平和学習施設へ

「触れて見る」展示物を
舞鶴高専・3Dプリンターで制作の引揚船など寄贈
情報のバリアフリー化
誰もが学べる平和学習施設へ

投稿日時:2022年03月22日(火)

 同校学生が寄贈したのは、3Dプリンターで制作した引揚船等の作品5点。いずれも電気情報工学科5年生の足立晃基さん、上村洋介さん、藤田英寿さんの3人が卒業制作で取り組んだ。
 作品は引揚船の興安丸(長さ55cm高さ15cm幅9cm)をはじめ、復元桟橋(長さ36cm幅22cm)▽望郷慰霊の碑(長さ3.6cm高さ17cm幅3.6cm)▽異国の丘・岸壁の母の歌碑(長さ15cm高さ6cm幅8cm)▽あゝ母なる國の碑(長さ9.5cm高さ14cm幅7.5cm)とさまざま。記念館を訪れる人の中には視覚障害の人もいて、かねてから「触って見る」作品の展示が検討されていた。こうした施設は、「段差をなくしてスロープを作る」というバリアフリー化だけにとどまらず、見ることが出来ない人や聞くことが出来ない人にも展示物を示す必要がある。教育旅行の増加など、以前に増して多くの来館者を受け入れるようになってきた同館には「情報のバリアフリー化」も求められるようになってきていた。
 そうした背景もあり、3Dプリンターでの作品制作を提案された同館は、引揚船の制作などを要望。学生たちは様々な資料を手に苦心の末、精密な作品を完成させた。
【操舵室の3Dモデルも製作】
 白糸中の出身で、春からは京都工芸繊維大へと進む上村さんは、興安丸の制作に約半年を要した。参考にしたのは、様々な文献や実際の展示物。窓や柱の数、大きさなど忠実に再現したデータを作成した。
 また記念館の資料や書籍、引揚者のブログ等から得た情報をもとに、引揚船の操舵室の3Dモデルも製作した。これについて指導にあたった舩木英岳准教授は、「船内体験をするVRなどに発展させられる可能性がある」と今後の展望を口にした。
 上村さんは、「多くの人に実際に触れてもらい、引き揚げの歴史をより深く理解してもらう一助になればうれしい。データで何度でも作り直せるので、どんどん触ってほしい」と笑顔を見せた。
 来館者へガイドをする「舞鶴・引揚語りの会」の宮本光彦理事長(74)は、「これまで視覚障害の方へのガイドには難しい部分もあったが、積極的に作品を使って理解を深めてもらうよう努めていきたい」と話した。
 寄贈された作品は当面、ガラスケースに入れて展示し今後の活用を検討していくとしている。

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