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日本農業賞で大賞受賞<br>JA京都にのくに万願寺甘とう部会協議会が快挙<br>不利条件を克服した団結の力<br>「腹をくくった」産地育成が結実

日本農業賞で大賞受賞
JA京都にのくに万願寺甘とう部会協議会が快挙
不利条件を克服した団結の力
「腹をくくった」産地育成が結実

投稿日時:2022年02月11日(金)

 第51回日本農業賞(全国農業協同組合中央会、NHKなど主催)の受賞者がこのほど発表され、舞鶴をはじめ綾部、福知山の生産者らでつくるJA京都にのくに万願寺甘とう部会協議会(添田潤会長)が、「集団組織の部」で最高賞の大賞に選ばれた。

 全国農業協同組合中央会、NHKなどが主催する日本農業賞は、意欲的に経営や技術の革新と発展に取り組み、地域社会の発展に貢献している農業者と営農集団を表彰するもので、実に半世紀の歴史を誇る。
 集団組織の部で大賞の栄誉に輝いた同協議会は、中丹地域の生産者326人が会員となり活動を展開してきた。受賞の決め手として添田さんがまず口にしたのは、地域での農業が過酷な環境下にあること。「冬は日照時間が短い」「雪害がある」「土地が狭い」「獣害がある」などと、およそ農業に適した土地であるとは言い難いのだという。
 そんな中で、地域内の新規就農者は年々増え続けており、現在は40代以下の若手が全体の2割を超える陣容となっている。平成元年に京ブランド産品第一号の認証を受けた「万願寺甘とう」は、平成5年の商標登録、平成29年にはGI(地域ブランド標示)に登録。長年をかけて、ブランド力の強化が図られてきた。
 そうした躍進の背景にあるのは、「知識と経験の共有がしっかりと図れていること」だと話す添田さんは、「我々の間の収量ランキングでも、新規就農者がトップ10に名前を連ねることがざらにある。垣根なく共有が図れていることで、産地としての強みが大きくなっていく」と力を込めた。
【みんなで高めた産地の力】
 協議会を率いる添田さんは、自身も西方寺に移り住んでこの地での農業を始めた。
 生まれは横浜市。「小学校の校舎2階から富士山が見えた」という広大な平野で育った添田さん。父の仕事の都合によりタイ国で暮らした中高生時代、福島県での農業実習生を経て、三重県の農業学校・愛農学園農業高を卒業した。
 転機は25歳。愛農高で知り合った妻の実家がある当地に移り住み、農業を始めた。
 「青果店で食べたブドウのおいしさが忘れられず、あんなブドウを作りたい」との思いから、当初はブドウ作りに取り組んだ。しかし紆余曲折を経て、「万願寺甘とう」に行き着いた。
 添田さんが「太平洋側で作ったとしたら、もっとできる。だけど、これしかないと私たちは腹をくくっている」と話す通り、時間をかけて産地の育成に心血を注いできた。
 以前、山梨県のブドウ産地を視察で訪れた時、おびただしい数のブドウ棚を見て、「ここの人たちは毎日、ブドウのことばかり話しているんだろうな」と感じたと振り返る添田さんは、長い年月を経て、「自分たちも今、会うたびに万願寺甘とうの話をしている」と笑顔を見せる。
 水滴がやがて大河の流れとなるように、積み重なった作り手の思いが産地の力となる。添田さんは今回の受賞を喜びながらも、「産地の魅力は築き上げるまでは大変な道のりだけど、壊れるのは一瞬。これからも一致団結して、みんなで良くなっていきたい」と前を向いた。
 当地の誇る京野菜。受賞を弾みに、さらに産地が盛り上がっていくことを期待したい。

協議会を率いる添田さん
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