「SDGs未来都市」とは
足元見つめてシティブランディングを
行政サービスとボランティア
調和に必要な「知恵」と「汗」
投稿日時:2022年02月04日(金)
今や、時代のキーワードとなった「持続可能な社会」に向けた諸問題。それを考える上で、避けては通れないのがゴミ問題だ。市は昨年、内閣府から「SDGsモデル事業」の10自治体に選定され、先進的な数々の取組みを実施しているが、足元のゴミ問題には依然として多くの課題が残っている。
一月某日、本紙編集部に市民から一本の情報提供が寄せられた。
「九条海岸に大量のゴミが放置されている」と話すその男性によると、「その場所は、ボランティア男性が一人で集めてきたゴミの集積場所となっていて、これまでは定期的に市が回収に訪れていたが、昨年秋ごろから溜まり続けている」のだという。「何か問題が生じて市が回収をやめたのではないか」と心配になった男性が、編集部に情報を寄せたのだった。
早速、教えられた場所に赴くと、そこには無数のボランティアゴミ袋が放置されていた。設えられた柵には、ポイ捨てを嘆く書き付けが貼り付けられるなど、一種異様な光景となっている。
現地確認を経て、市生活環境課に現状について問うと、「把握していない」との回答。市内を巡回し一定のパトロールはしているが、ボランティアゴミについては連絡があって初めて回収に向かうという。その後確認が進むと、ゴミを集めた男性が、昨秋から市への連絡を取っていなかったことが分かった。
今後、ゴミは回収されるという報告を聞いた情報提供の男性は「良かった」としながらも、「これまで定期的な回収に訪れていたはずの場所なのに、こんなに溜まるまで市はなんで気づかないのでしょうか。一市民の私は、ボランティア男性の身に何かあったのかと心配になっていたのに」と首をかしげた。
【昨年7月にはゴミ処理手数料を見直し】
昨年7月1日から、市はゴミ処理手数料の見直しを行い、不燃ゴミでの指定ゴミ袋制による有料化、可燃ゴミ指定ゴミ袋の値上げ、直接搬入時の搬入受付手数料の導入に踏み切った。
こうした施策を通じて、「持続可能な社会」実現に向けて大きく舵を切った舞鶴市。今後、ゴミの減量化と再資源化に、施策がどのような効果を及ぼしているかを検証する必要があるが、ゴミの量などに関するデータを市は、今のところ平成30年度までのものしか示せていない。
手数料値上げ前には駆け込み需要により、市リサイクルプラザ前で大渋滞が発生。その後、反動もあって持ち込まれるゴミの量は減ったと推測されるが、情報提供男性は「最近になって市中のポイ捨てが増えたように感じる」と話し「行政が市民の善意に頼りすぎ」と憤る。一方で、市生活環境課の大谷美香課長は「一人ひとりの意識が変わっていくことが問題解決に必要」と話している。
市は平成13年10月から、アダプト・プログラムまいづる(環境美化里親制度)に取り組んでいる。この制度は道路等の公共空間を「養子」に見立て、「里親」になった市民が清掃活動をするというもの。市によると現在の登録者数は26団体903人であるとし、長年にわたって増減しておらず、周知の起点となるべき市職員の登録は現在のところ皆無だという。
「有料の行政サービス」と「市民の善意による行動」。この両輪を正しく機能させるためには、更なる周知に努めるほかはない。シティブランディングにばかり心血を注ぐ市に、その余力があるか。「SDGsモデル事業」自治体としての真価が、いま問われている。
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