助け合える社会を
舞鶴母子福祉会・ひとり親家庭への支援事業
利用者増加は社会の課題
投稿日時:2022年02月01日(火)
1月27日から京都府で始まった「まん延防止等重点措置」により、当地でも制限のある日常が始まった。そんな中で取りざたされることが多いのは、ひとり親世帯の生活困窮化を危惧する声だ。学校の臨時休校や就学前施設の閉園などで仕事に出られない場合などに、とりわけ厳しい環境に直面するひとり親世帯には、行政による様々な支援策が存在する。しかし、実際に制度などを利用する人は限られており、利用者の増加に向けての啓発活動の強化が待たれている。
厚生労働省の実施した「2019年国民生活基礎調査」によると、中間的な所得の半分に満たない家庭で暮らす18歳未満の割合を表す「子どもの貧困率」は13.5%で、子どもの7人に1人が貧困状態にあるということを数値が示している。
世帯類型別の数値では、母子家庭など大人1人で子どもを育てる世帯の貧困率は48.1%に上り、苦しい生活の様子が鮮明になった。
こうした中、府は2015年3月に「京都府子どもの貧困対策推進計画」を策定。すべての子どもが生まれ育つ環境に左右されることなく、その将来に夢や希望を持って成長していける社会の実現に向けて、「きょうとこどもの城づくり事業」を実施している。
同事業は、「きょうと子ども食堂事業」や「ひとり親家庭の子どもの居場所づくり事業」など多彩な内容で展開されており、当地でも多くの人が利用している。
しかし府が2017年に発表した京都府母子・父子世帯実態調査結果によると、制度が完全には浸透していない実態が明らかになった。当地でも実施されている「子どもの居場所づくり事業」は、制度を知らない人の割合が母子家庭で55.5%、父子家庭で50.7%に上った。
【母の笑顔で子どもも笑顔に】
舞鶴市母子福祉会(常塚朋子会長)は府の事業を担い、「居場所づくり教室」とした学習会を東西2か所で実施。それぞれ週2回開く学習会へは、ひとり親世帯の小学校1年生から高校3年生までの児童生徒が参加している。
また今年度は学習会への参加者を対象に、コロナ禍の支援として府が行う「食料品・生活必需品配布事業」が数回実施された。年末と年始の配布では、米や餅、菓子などの食料品、ゴミ袋や食器用洗剤といった生活必需品を子どもの送迎時に親へ手渡した。1月23日にも再度配布が行われたが、コロナの影響で学習塾の開催は中止に。南公民館へはこの日、支援物資を受け取りに母親らが訪れ、「ありがとうございます。ゴミ袋もお米も本当に助かります」と笑顔を見せていた。
中には「お母さんは忙しいから代わりに来た」と笑顔を弾けさせ、自転車に乗ってひとりでやってきた子も。
バレンタインが近いことからチョコレートも選んだという常塚会長は、「お母さんが笑顔だと子どもも笑顔になる。私たちにできるのは、笑顔になってもらうお手伝いです」と話した。しかし一方で、「まだまだ声の届かない人たちがたくさんいる」と常塚会長。
「学習会へやってくる子どもたちは皆、宿題や課題を一生懸命こなし、楽しみながら過ごしています。子どもたちがここで過ごす間が、忙しいお母さんにとっても安心した時間になれば」と学習会への参加や利用を呼びかけている。
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