社会の変化に対応
舞鶴支援学校
ICT活用で他校と交流
小学部児童らの自主制作映画
市内各小学校がリモートで視聴
投稿日時:2022年01月28日(金)
新型コロナウイルスのオミクロン株が猛威を振るい、様々な社会活動が停滞を余儀なくされている。
しかしそんな中、劇的な環境変化が教育現場では起こっている。リモートで市内小学校をつなぎ、多くの児童と交流する舞鶴支援学校の取り組みを取材した。
堀の舞鶴支援学校で1月25日、同校小学部8組の児童らが制作した短編映画「劇場版8組の刃」を、リモートでつないだ新舞鶴小と与保呂小の児童に視聴してもらい、感想を聞いたりする交流が行われた。
大ヒットした「鬼滅の刃」を題材にした映画は、昨年8月末頃から制作に取り掛かり、約1か月間をかけて完成した。内容は、8組の児童7人が力を合わせて敵をこらしめ、仲間を助けるというもの。約12分の映画では、一人ひとりが熱演を披露。「鬼滅の刃が大好き」と口をそろえる児童らは、細部にこだわった小道具を手にするなどして画面上で躍動した。
動画制作を担ったのは同校教員の小田垣安由実さん(43)ら。「最初はそんなに手をかけることなく、さらっと作る予定だった」と振り返る小田垣さんは、「思いがけず、『ここはこうした方が良い』というように児童がみんな前のめりになり、良い作品に仕上げることが出来た」と達成感をにじませた。リモート交流で映画視聴の感想を述べた他校の児童らが、「僕たちには出来ない完成度で、すごく面白かった」「一人ひとりが熱心に一生懸命練習したことが伝わってきた」「みんな笑顔で演じていたので、こっちまで楽しくなった」などと画面越しに思いを伝えると、8組の児童らは歓声を上げるなど喜びを弾けさせていた。
【GIGAスクール構想】
舞鶴支援学校では、障害のある人もない人も共に生き生きと暮らす共生社会の実現のために、地域とつながる教育活動を重点に位置づけて取り組んでいるという。そんな同校にとってコロナ禍は、そうした活動を封じられる危機感をもたらすものだった。
そんな中で推し進められた、京都府の「GIGAスクール構想」。一人1台端末と高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備することで、教師・児童生徒の力を最大限に引き出すことを目指すというこの取り組みは、「非接触」の後押しを受けて飛躍的な環境整備が進んだ。
府立学校である同校では、昨年4月にWi-Fi環境が整備され、端末の管理などを担う研修を受けた教員も配置されるなど、環境が整った。
同校小学部総括主事の南田高典さん(50)は「今回の映画は、ハードとソフトがそろった上で完成したコンテンツ」だとし、「コロナで大変なことも多いが、こうして進んだ部分もある。整備された環境で児童たちの可能性はさらに大きくなる」と充実感を漂わせていた。
他校の児童から映画を絶賛された桝本龍桜(りお)さん(6年)と橘輝翔(あきと)さん(5年)は、「褒めてもらえてとても嬉しかった」と笑顔で話した。
同校は27日にも別の小学校とリモート交流を実施。この時には200人を超える児童らとオンラインでつながった。
「試練を経て、社会はより強くなる」。教育現場では、春の芽吹きが間違いなく始まっている。
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