大山の誇り 京の頂に
米農家・岡山さん「京のプレミアム米コンテスト」で最高金賞
大山産のコシヒカリ 生産者154人・174品の頂点に
投稿日時:2021年12月14日(火)
大山の農家・岡山敏之さん(74)が11月30日、優れた京都府内産のコメを選ぶ第5回「京のプレミアム米コンテスト」で最高金賞を受賞した。174点もの応募の中、文字通り最高の評価を受けた「大山の米」。何代にも渡って守り続けたふるさとの田んぼが、都の食通をうならせた。
ひと昔前は、「コシヒカリ」一辺倒だった米の人気。以前は敬遠されていた北海道や東北の米が、生産者の努力はもとより宣伝・販売戦略も奏功し、今では人気を集める銘柄も多くなってきた。
そんな中、京都府農林水産部農産課では、府産米を広くアピールし「京のプレミアム米」としてのブランド力向上を目指して2017年からコンテストを実施している。
その審査は厳格で、上位進出を勝ち取るのは並大抵のことではない。コンテスト開催5回目となる今年は、154人の生産者が174点の米を出品。そんな難関への挑戦を、「昔からとびきり美味いと思っていた我が家の米の実力を試してみたかった」と岡山さん。作る田んぼは多くなく、「身内で食べきれる程度」と言いながら、商売抜きで土に向かってきた。
美味いと評判の米の食べ歩きもしたが、「うちの米の方が美味い」と自信を深めて臨んだコンテスト。しかし、とは言うものの難関は想像以上だった。
審査は食味測定器による1次審査と、味度計よる2次審査で30点に絞られた。続く3次審査は、公募により選ばれた15人の府民委員が、30点のごはんを少量ずつ試食。食味審査結果から、上位8点の米が最終審査に進出となった。この時点で表彰式に呼ばれた岡山さん。「上位8人には残った」と満足し、意気揚々と表彰会場となった京都市内のホテルへ足を運んだ。その日に行われる最終審査では、米のプロ8人が審査。そこで最高金賞・金賞・入賞が決まる。結果を知らされないまま臨んだ表彰式では、「ここまで来たら金賞になれたらいいなと思っていた」と振り返った。
出品番号の読み上げによる受賞者の発表。岡山さんの番号「34」は、入賞には呼ばれなかった。「よし、金賞確定だ」と喜びを感じたのも束の間、先に最高金賞の発表が。そこで読み上げられた「34」。「まさか受賞できるとは」と思いながらも岡山さんは、「どうだ、みんな、やっぱり大山の米は美味いんだ」と胸の内でこぶしを突き上げた。長年の想いが通じた瞬間だった。
【突き詰めた4割の努力】
岡山さんが生まれた時、生家は米作りの他に乳牛を5頭ほど飼っていた。水が良いのか、寒暖差の激しい気候が良いのか、土壌が良いのか、昔から「大山の米は美味い」と評判だった。しかし、農家で生計を立てるのは難しく、高校卒業後は日本板硝子に就職。以降は兼業農家となった。
20代の頃、フェリーの航路が小樽との間に結ばれた時、二人の弟と共に海を渡った。そこで目にした大規模農業の姿に愕然としたという岡山さん。「これからはこんな農業じゃないと生き残れないな」と生業としての農業はあきらめた。
しかし、自然の仕事が性に合っていた岡山さんは、何度か有給休暇を取って北海道に渡り、飛び込みで牧場でのアルバイトに励んだ。
そのようにして蓄積された様々な経験は、42年務めあげた定年後、次第に実を結び始めた。再び情熱を傾け始めた米作りでは、「どうやったら、もっと美味い米がつくれるか」と試行錯誤を続けた。
「米の味は、6割は自然条件。努力で決まるのは、あとの4割」と岡山さん。その4割に心血を注いだ。
今回の受賞により、「今まで思っていたことに客観的な評価が加わった」と自信を深めた岡山さんは、「これからを担う人たちも、この土地に自信をもって取り組んでほしい」と今後に期待を寄せた。
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