「徳永重兵衛家文書」 府丹後郷土資料館で活用始まる
投稿日時:2020年04月28日(火)
府丹後郷土資料館が所蔵する市内三浜に伝わる「徳永重兵衛家文書」が、府の暫定登録文化財に指定されたことを受け、保護・継承に向けた活用が始まっている。「徳永重兵衛家文書」は三浜村の庄屋文書と徳永家の私文書に大別される中世から近代にかかる808点の古文書。丹後の漁村に関する文書としてはここでしか確認されていない中世文書7点(売券・寄進状)を含む貴重なもので、そのうちの1点、天正9年(1581)2月8日の「三浜刀祢[とね]又四郎■[魚偏に飛][とびうお]之道売券」は、三浜刀祢又四郎(※)が小橋(現舞鶴市)の新屋[あたらしや]という人物に対して飛魚の漁場を代銭1貫文で売り渡したときの証文。小浜市など若狭地域で確認されているハマチや飛魚の漁場の売買や権利に関する文書を通して、中世における網漁の発達の様子が知られており、本資料からは若狭に近い当地においても、発達した漁場の存在がうかがわれる。また近代文書では、若狭湾沿岸地域の漁民に厚く信仰されていた冠島(老人島)に関する文書が特徴的であり、三浜・小橋・野原の3か村による本社の再興(安政5年(1858)1月「老人嶋大明神社再建勧進疏(扣)」)や、島の鳥糞をふくむ土砂の採取契約に関する文書などが含まれる。同文書は、平成3年から国の補助を受けて行なわれた府の漁業関連の調査の一環で目録化が済んでいる。今後どのように継承していくかを広く考えてもらう機会として、府丹後郷土資料館の休館中は、展示予定の文書に解説を加えたウェブサイトでのパンフレット公開を行う予定。
[お問い合わせ]TEL:0772・27・0230 同館。
(※)刀祢(職)[とね(しき)]は中世の漁村における指導者的立場の役職
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