南方出身 くつろぐ貴婦人 クツワハゼ【舞鶴・若狭水中散歩】
投稿日時:2022年02月14日(月)
クツワハゼは、眼の後ろの一本線が特徴的な、ハゼ科の魚である。クリーム色の地に海老茶色の水玉を並べたストライプが走り、頬にはターコイズブルーの斑紋が4つ輝く。派手ではないが品があり、サングラスをかけて渚でくつろぐ貴婦人の趣きが感じられる。しかし、「ナギサデクツロググラサンノイイオンナハゼ」では長すぎるので、眼の後方の模様を馬のくつわに見立てて、この名がついたのだろう。そう考えると、少し不憫だ。
本種は10年ほど前までは、原発の温排水により水温の高くなっていた音海にのみ多数生息し、若狭湾の他の場所で見ることはまれであった。ところが最近は、若狭湾各地で頻繁に見るようになり、舞鶴湾内でも、ほぼ年間を通して出現している。図鑑によれば、沖縄や台湾などの亜熱帯が主な分布域で、記録上の北限は山形県とある。南方から海流により運ばれ、定着しつつある魚の1つであろう。
つい先日のこと、生き物と赤煉瓦をこよなく愛する舞鶴市民の黒田さんという知人が、「子供の頃から釣りをしていて、初めて見る魚が釣れたので、教えて下さい」と写真を送ってくれたのも、このハゼだった。筆者が舞鶴湾内で潜水中に見るクツワハゼは、体長が7センチくらいまでの個体が大半だ。黒田さんの釣ったクツワハゼは10センチほどであったとのことなので、このハゼでは巨大な部類である。通常の磯釣りの仕掛けにかかるクツワハゼは、まだ舞鶴湾にはそれほど多くはないのだろう。
釣れたクツワハゼを、黒田さんは煮付で召し上がったそうだ。「お味の方は」と尋ねたところ、「ふつうにおいしく頂いた」とのこと。
温暖化により、南の魚は確かに増える。そんな魚もおいしく食べるたくましさこそ、これからの時代を生きる上での原動力となろう。
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