カキとナマコの関係 マガキ【舞鶴・若狭水中散歩】
投稿日時:2022年02月14日(月)
わが国で食用とされる牡蠣の大半はマガキである。本種は英語にしてスペルにrを含む9月から4月までが食用に適した時期とされる。産卵期の夏は食用に向かないそうだ。もっとも、水中でマガキの産卵に出くわすと、これを食べに魚たちが集まり、お祭り状態となっている。
牡蠣は大量の海水をこしとって植物プランクトンを餌とする。このため養殖する際に餌を与える必要がないばかりか、牡蠣養殖場の中は透明度が他の海域よりも高い。
牡蠣については、畠山重篤さんの一連の著作で勉強させて頂いた。その畠山家が牡蠣養殖を営む気仙沼へ東北大震災以降は2ヵ月に1回赴き、潜水調査を行っている。調査データを解析したところ、津波後2年目まではこの海域にクラゲが多く、3年目からはクラゲは減りナマコが増えたことがわかった。この変化と牡蠣養殖の復旧は軌を一にしている。
牡蠣はプランクトンを食べると糞を落とし、これが海底にいるナマコの餌となる。一般に、富栄養化により小型のプランクトンが増えると、これを餌にクラゲが大発生しやすくなるという。養殖牡蠣は、海の栄養の流れをクラゲではなくナマコに向ける役割をしているのかもしれない。
舞鶴湾でもマガキは養殖されており、海底には天然マガキも多い。これらマガキが迷惑な状況も時に生じる。本種が海底を覆うと、アサリの生息に適した砂地が減るため、アサリ資源の減少をもたらすかもしれない。また、マガキの殻は鋭く、海で手足を怪我する最大の原因となっている。
マガキの食べ方として、生、焼き、フライが一般的かと思う。筆者のお勧めは、ネギと一緒に胡麻油で炒めて甜麺醤をからめる中華炒めや、湯がいて大根おろし和え、あるいはスープやリゾットに入れるなどだ。いずれも、あらかじめ牡蠣に片栗粉をまぶすと、身が縮まず旨味を閉じ込めてくれる。
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