「キクメイシモドキ」- 南からのサンゴの運命は【舞鶴・若狭水中散歩】
投稿日時:2022年02月14日(月)
「今年の冬は寒い」と誰もが口にする。でも海の中は、そうでもない。たしかに表面は雪どけ水の影響で0度近くまで冷えることもある。しかし、真水の入った冷たい水は海水よりも軽いため、海の上に乗るような形になる。その結果、この冬の舞鶴湾内では、5メートルほど潜れば水温は12度くらいある、いわば,風呂の湯の逆のような状態が維持されている。そんなこの冬の舞鶴湾で、なんとサンゴが見つかった。キクメイシモドキといって、サンゴ礁を形成する造礁サンゴの1種だ。亜熱帯にいるようなサンゴがどうして舞鶴湾で見つかるかといえば、やはり海全体としては(というか地球全体としては)温暖化が進行しているからであろう。海が暖かい年に日本海側では雪が降りやすいことは、天気予報の世界ではよく知られたことだ。サンゴは、クラゲやイソギンチャクと同じく刺胞動物に属する。キクメイシモドキも、クラゲのようなプランクトンの時期に暖流に運ばれて、舞鶴湾の海底に落ち着いたのだろう。よく見れば、イソギンチャクが寄り集まったようでもある。造礁サンゴの大きな特徴として、藻類を体の中に共生させ、石灰質の骨格(いわゆるサンゴ礁)を形成するということがある。サンゴは、海水中の二酸化炭素から、炭酸カルシウムの骨をどんどん作っていくわけだから、地球上の増えすぎた二酸化炭素を減らす働きをしてくれるはずだ。温暖化が進んでサンゴの分布が増え、結果として二酸化炭素を減らしてくれるとしたら、バランス的には都合が良い。一方で、サンゴが育つと海藻が生えにくくなるという問題もある。海藻がなくなれば、そこに憩う魚たちも減るだろう。南からの珍客がいかなる運命をたどるのか、当面は見守ってゆくしかないだろう。
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