70年の足あと一冊に~舞鶴俳句協会 「舞鶴吟行案内」を発刊
投稿日時:2021年04月16日(金)
地域に根ざした舞鶴俳句協会(福井久生会長=76=)がこのほど、発足70周年を記念して「舞鶴吟行案内」を刊行した。多くの俳人らに協力を得ながら、完成までに要した期間はおよそ1年。集まることすら困難だったコロナ禍を逆手にとり、同誌編さんにあたった会員らは周囲の様々な協力に感謝し、完成を喜んでいる。
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昭和24年9月に立ち上げた同協会。多くの俳人らが集結し、その礎を築いた。現在、会員数およそ60人。
70年の長きにわたる歩みを記録するように、歴史の中で活躍した故人の句も掲載。全129ページで伝える吟行地は、本市北端・大浦半島から始まり、市街~中舞鶴~西舞鶴~城下~由良川へと続き、“海のある京都”なだけに日本海で締めくくられている。行き届いた舞鶴の吟行案内となるよう地区分けし、俳句にゆかりの深い地名を柱として項目を設けた。
観光地として有名な引揚記念館や赤れんがパークをはじめ、田辺城址や安寿姫塚、歴史を物語る建造物や遺跡など、吟行地が多い舞鶴。季節の折に異なる表情を見せる豊かな自然の中で詠まれた句が、その美しい情景を感じさせる。
各地域の俳人に協力を得たり、自身で聞き込みを重ねたというその内容は、一般に広く知られていない、地域の歴史や特徴などが丁寧に記されている。
「舞鶴は本当に句材豊かな地。これでも随分、省いたんです」と話すのは福井会長と編集委員長を務めた岩木茂さん(73)。 「自分たちの知らなかった郷土の魅力をたくさん発掘できた」と笑顔を見せ「コロナ禍の今だからこそじっくり時間を費やすことができた」と振り返る。
【350部が すぐに完売】
発刊に先立ち昨年8月、収録句とするため市内吟行で詠んだ俳句を公募。短い応募期間の中、およそ110人から1900近い句が集まった。
幅広い年齢層の豊かな感性が詠んだ多くの句。「一人ひとりの一句でも多くの句を残したい」そんな会員らの思いから、寄せられた全ての句を掲載した。
既に出版されていた両丹地方の吟行案内は、「若丹歳時記」(舞鶴文化懇話会)と「若丹吟行案内」(俳人協会)の2冊あった。しかし、吟行地として舞鶴の細部までまとめられたものは、これが初めて。予約なども含め発行した350部はあっという間に完売となった。遠方に住む舞鶴出身者からは、「ページをめくるたびに故郷の情景が思い浮かぶ」といった喜びの声も届いた。
予想を上回る反響に舞鶴の魅力を再認識したという会員たち。「作句に活用いただければ嬉しい」と話し移りゆく舞鶴が詠み継がれることを願った。
「舞鶴吟行案内」は東西図書館や市内公民館で閲覧可能。
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