難航する舵取りの行方は~スポーツ協会 登記上の不正発覚で
投稿日時:2021年06月08日(火)
舞鶴市スポーツ協会(内藤行雄会長)が2020年8月、実際には出席者が足らず成立しなかった評議員会を開催したように装い、捏造した議事録を法務局に提出し登記を行ったことが判明。新聞各紙による報道の影響もあり、関係者に波紋が広がっている。
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同協会は理事・監事の任期満了に伴い、昨年6月19日に開催した評議員会で新理事を選出。しかし、当日はコロナ禍の影響を受け定数29人のうち出席者が5人にとどまった。欠席者のうち18人が委任状を提出していたものの、法務局からは「出席者が過半数を超えていないため評議員会は不成立」との指摘を受けた。
それを受け、同協会は3役業務理事会で対応を協議。新型コロナ感染拡大が続く中、再度の会議日程を設定することは困難と結論づけ、議事録を捏造して登記を行うことを決めた。その際に合意したのは役員11人で、委任状を出していた18人には了解を得なかったという。
架空の評議員会には、定数29人のうち過半数に達する23人が参加したことにし、「質疑応答なし。賛成23人で承認された」とする虚偽の議事録を作成。開始時間や終了時刻を明記し、議事録署名人の判も押した。
本紙の取材に対し内藤会長は「コロナの影響でどうしても出席者が集まらず、代替案を考える時間もなく安直な対応をしてしまった。74年目にもなる協会の歴史を考えると心苦しく、迷惑をかけた方々に申し訳ない」と沈痛な様子で話した。
事態の収拾に向けて同協会は、5月21日に評議員・理事・監事を対象にした合同説明会を開催した。
【市の指定管理業務 年間およそ1億円】
同協会は1946年、舞鶴市体育協会として発足。現在は市内29の競技団体で構成されており、2014年からは美津濃株式会社、ミズノスポーツサービス㈱と共同で舞鶴スポーツネットワークとして、市内スポーツ施設5拠点の指定管理業務に当たっている。
また、2019年には同協会単独で、青葉山ろく公園の指定管理者に選定された。
現在、舞鶴スポーツネットワークとして年間約7800万円、同協議会単独で年間約2200万円の指定管理料を市から受け取っている。
内藤会長名で同協会の評議員宛に送られた文書には、「一般財団法人として、また舞鶴市から指定管理を受け公金をいただいて活動する立場から、最も基本で大切にしなければいけない法順守を忘れた許されない行為であったと反省しております」と記されているが、事態を受けて市がどのような対応をとるかに注目が集まっている。
【青葉山ろく公園 過去の因縁】
同協会が青葉山ろく公園の指定管理者に選定される以前、同公園は指定管理施設から外れ市の直営管理となっていた。
同施設が市直営となったのは、以前の指定管理者であったNPO法人ガバナンス舞鶴が起こした不祥事が原因。当時は同公園と合わせて指定管理施設であった市陶芸館の職員2人が粘土代や作品代約35万円を着服していたことが判明し、問題を把握後も報告しなかった姿勢を問題視した市が指定の取り消しに踏み切った。
スポーツ協会が起こした今回の不祥事は、内容は違うものの両者ともにコンプライアンス違反であることには違いない。
青葉山ろく公園の指定管理業務において、担当課の地域づくり支援課は、同協会と2ケ月に1回は定期的に連絡調整会議を行うというが、前回4月に開催して以来、問題の発覚以後も会議は行っていないという。
その件に関して同課担当者は「今回の問題はスポーツ振興課が窓口となっているので(協会とは)直接話していない」と回答した。
【再度の説明会へ 協会の停滞はいつまで】
一方、市スポーツ振興課の担当者は本紙の取材に対し、「指定管理者として適格かどうかの判断は、今後進めていく」と話すにとどめた。同協会が評議員向けに開催した合同説明会では、一部会議が紛糾。参加した評議員の一人は「質疑応答の時間が短かったこともあり、再度の開催を要望する声が上がっていた」と話した。
同課担当者は、「改めて報告書を提出いただくのを待つ」と話したが、報告の期限は設けていないという。
「今回の責任は痛切に感じている。責任をとれと言われればとるつもりでいる。しかし、進めていかなければならないこともあり、舞鶴のスポーツを停滞させるわけにはいかないという気持ちが強い」と内藤会長は苦しい胸のうちを明かした。
東京オリンピックではウズベキスタン選手団のホストタウンとなっている当地で、同協会の果たすべき役割は大きい。そんな中で持ち上がった騒動だが、市としても以前に下した決断と矛盾する結末になることは避けなければならず、今後も難しい舵取りが続いていくことは間違いない。
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