豊かな自然を後世に~三笠小 寺川でサケの稚魚を放流
投稿日時:2021年04月13日(火)
三笠小児童らが3月22日、校区内を流れる寺川にサケの稚魚を放流した。様々な要因から進んだ河川環境の変化により、現在は生き物の姿を目にすることが少なくなったという寺川。稚魚の放流を通して、河川環境の改善に熱意を見せる人たちを取材した。
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稚魚の放流に参加したのは、3年生26人と4年生28人。同校では舞鶴サケ放流実行委から1月初旬に発眼卵を譲り受け、この日まで飼育や観察を続けてきた。
児童らはそれぞれ稚魚の入ったバケツを手に川辺へ降りると「元気でね」「いってらっしゃい」と放流し、元気に泳ぐ稚魚を見送った。中には名前を付けた稚魚との別れを惜しむ姿もあるなど、児童らはそれぞれの思いを込めて放流を行った。
そんな中、熱心に取り組む児童らを温かく見守る人がいた。長年にわたり寺川の環境調査に取り組む高橋正延さん(86)と太田隆さん(79)だ。この日様々な資料を用意して児童らに示した高橋さんは、4~5年後に生まれた(放流した)川に戻ってくるサケの習性について言及し「皆さんが中学生になる頃再び戻ってきます」と話した。
興味しんしんの様子で耳を傾ける児童たちに高橋さんは、グラフや写真などの掲示物を使い、かつて寺川に生息していた生き物や環境の移り変わりなどを分かりやすく説明した。
児童たちはこれまでにも出前授業などを通して、サケの生態や習性などを学び理解を深めてきた。高橋さんも同校へ出向き、児童に対して寺川に関する話を伝えてきた。
そうしてはじめて過去の寺川の様子を知ったという4年生の大槻芽衣さんと岸本美紀さんは「むかしはこの川に、鯉とかいろんな生き物がいたと知ってすごく驚きました」と口を揃える。また、自分たちにとって「なんとなくさみしい雰囲気」を感じていたという寺川の印象が変わったといい「ごみもなくて、生き物もたくさん泳いでいるような、明るい川を未来に残していきたいと思いました」と目を輝かせた。
「過去において寺川にサケを放流した実績は一度もない」とした上で高橋さんは「こうして子どもたちが自分たちの住んでいる地域に目を向けてくれるのは嬉しい」と話し、数年後のサケの『里帰り』に期待を寄せた。
【豊かな河川へ 思いよ届け】
高橋さんによると、寺川にはかつて色鮮やかなニシキ鯉など様々な水生生物の姿が見られたという。
その環境に変化が見られだしたのは、「1997年に行われた大規模な蘇り工事以降のことだ」と、高橋さんは自説を述べる。
工事により、それまでドブ川と化していた川は見違えるほどきれいな姿に。多くの魚や水鳥の姿を観察することができるようになり、人々の目を楽しませていた。
しかし工事から20年が経過した今、鯉もすっかりと姿を消すなど、生き物の姿を見ることが極端に少なくなってしまった。
その原因を高橋さんは、「相次ぐ集中豪雨や台風による被害で土手が荒廃したことや、川底に堆積している汚泥、白糸橋上流に堆積している砂泥等が考えられる」と話す。
今回の放流事業で高橋さんは、「子どもたちが地元の自然に関心を持つきっかけになればうれしい」と話し、かつての「にぎやかな」川が復活する未来に思いを馳せていた。
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