地域の誇り 小さなシールに 舞鶴夏みかんの会 ブランドPRに新たな一手
投稿日時:2021年01月19日(火)
長引くコロナ禍が東京一極集中のリスクを浮き彫りにし、以前にも増して注目されるようになった田舎暮らし。地方移住に向け高まる熱に、大きな要となるのが地域の魅力発信だ。しかし、地域住民でさえ知らない「わがまち」の魅力もまだ多い。
そんななか、神崎地区などで取り組みの輪を広げる「舞鶴夏みかんの会」が、新たな一歩を踏み出した。
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神崎地区の主な畑は、海の砂地。同会はこのほど、その砂地で栽培したことをPRする地域ブランドシール(縦60ミリ×横53ミリ)を1000枚作った。シールは地元生産者らに無料配布し、大根やサツマイモ、ジャガイモ、トマトなど、砂地栽培の作物を出荷する際に貼付される。
6センチ角ほどに込めた地域の誇り。シールデザインは、同会に属しデザイナーとしても幅広く活躍する坂本真由美さん(40)が担当した。
同会代表の村上貴是さん(74)=女布=は「ミネラル豊富な砂地で育った作物は、甘くておいしい。シールを貼付しPRすることで、もっと多くの人に知ってもらいたい」と力を込める。
およそ50年前に始めた趣味のスカイレジャーを通じて、神崎とのつながりを深めてきた村上さん。これまでにも魅力の掘り起こしなど、地域の活性化に力を注いできた。
【手元にあった魅力の原石】
「こんな酸っぱいもん、猿でも食べへん」たわわに実りながらも放置される夏みかんを「もったいない」と訴えた村上さんに返ってきた地域住民の一言だ。
猿にも嫌われると紹介されたこの地の夏みかんだが、初めて口にした村上さんの印象は違った。爽やかな酸味は、砂糖をかけて食べた子ども時代の遠い記憶に呼びかけてくる。口に広がるどこか懐かしい味に胸がいっぱいになった。
調べてみると、特徴ともいえるこの酸味が、料理や菓子に加工され人気があることが分かった。「地域の特産品にしたい」と夏みかんに端を発した同会。
以来、夏みかんに止まらず様々な活動に取り組みながら、地域で育った作物の売り込みに奔走した。
砂地栽培の野菜の旨味は好評を博し、今では大阪や京都市内の料理屋など複数の取引先を有するまでに。認められることは地域の自信へとつながった。
JA直売所「彩菜館」へ出荷する今西清さん(西神崎)は「シールを貼ることで、神崎の作物の良さを一目で伝えられる。お客さんとの会話でも話題にしやすくなった」と笑顔を見せる。
“近くて見えぬは”身近にあり見慣れた景色に埋もれがちな地域の魅力。こうして再発見、再認識することで高まる地域力こそが、魅力あふれるまちづくりへの大きな一歩になるに違いない。
【シールの配布場所】竹内酒店(?0773・82・5115)
【砂地にはこんなメリットも】土の畑に比べて砂地は雑草も抜きやすく手入れなどの作業が楽なことから、初心者にも易しく始めやすいという。体験なども行っている。神崎地区の農作業に興味のある方はTEL:090・6917・0529、村上さんまで。
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