-「熊野神社持立(もったて)御講之式」-【舞鶴の伝統文化】
投稿日時:2022年02月14日(月)
泉源寺にある熊野神社では、往古から毎年春に「持立御講之式」が厳粛に行われています。かつては旧暦3月3日でしたが、近年は、4月の第1日曜日の早朝に、神官、当人(当番)6人、持立子(少女)3人がお供物と弓矢を持って熊野神社に参拝した後、弓で的を射る儀式が行われます。第二次世界大戦中・戦後も中断されることなく実施されてきたとのことで、地元の人々の伝承への熱意には心を打たれました。今年は、4月3日午前8時過ぎに泉源寺公民館を出発予定とのことです。この行事は、「その昔、この地に怪物が住み、人身御供(ひとみごくう)をすれば、その年は村落が平和で災難を免れたということに始まり、人身御供の悪習を改めるために弓を射て怪物を退治した伝説になぞらえた」(舞鶴市史抜粋、読みは筆者)ものです。このような怪物退治伝説は、「しんぺいとうざ」(日本の民話10、世界文化社)などの民話としても伝えられています。写真撮影をさせていただいたときに、神饌(しんせん・お供え物)と配膳が独特で、大変興味深いものでしたので御紹介します。一組「三宝 一」、「お膳 二」からなり、三宝には御神酒と「おこわ」、一膳には「のし餅」12個と「くろな(タカナ)」の汁物一椀、もう一膳には三皿が供えられます。一皿目(猪口)には、シイの実、白豆、クルミ、干し柿、栗が盛られます。二皿目(池盛)には、ウド、野菊、ツクシが盛られます。三皿目(平)には昆布、山の芋、ワラビ、大根、フキが盛られます。この神饌は、本殿に祭られている伊弉册命(いざなみのみこと)・速玉男命(はやたまのおのみこと)・事解男命(ことさかのおのみこと)に一組づつ供えられます。このような行事が行われているのは、舞鶴市内では熊野神社だけではないかと思います。市内各地域には、それぞれ個性ある行事が伝承されており、それを記録に残すとともに、多くの人に御紹介していきたいと思っています。(春が大好き筆)
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