過酷な環境生きのびる クボガイ【舞鶴・若狭水中散歩】
投稿日時:2022年02月14日(月)
クボガイは、潮間帯の岩場にごく普通に見られる巻貝である。ちなみに潮間帯とは、満潮時には海の中、干潮には陸となる範囲をさし、太平洋側に比べて干満の差が小さい日本海沿岸では、潮間帯もまた狭い。
潮間帯は、ときに波に打たれ、その数時間後には直射日光にさらされることもある、過酷な環境である。ここに住む生物はしかし、そんな環境によく適応している。クボガイも、潮が満ちれば動き回って海藻などの餌を食べ、潮がひいて陸上に露出すると、岩にはりついて乾燥を避ける。注意して見ると、岩場には似たような巻貝が多数生息している。その大半は、実は食用になる。
昨夏、市内の公民館主催の自然観察会で講師をする機会があり、小学生の皆さんと一緒に、磯にいる生物を見てまわった。その際、親御さんの1人から、若狭湾は太平洋側に比べて磯の生物が少ないのではないか、との意見を頂いた。潮間帯の狭い日本海側の海岸は確かに磯の生物が少なく、同時に磯臭さがほとんどない。
太平洋側では潮間帯が広いため、海藻や磯の生物が岸に打ち上げられることは多く、これが磯臭さの原因となる。これらにはまた、特に暖かい季節には、陸上の昆虫が集まって卵を産み、その幼虫が波に流されて海に入ると、魚たちの格好の餌となる。よくできた自然のサイクルだが、おそらく「磯の魚は夏場には臭い」とされる主要な原因ともなっているのだろう。
一方、日本海の磯の魚は、陸上昆虫を摂餌する機会は乏しく、したがって海藻とそれに付着した海の生き物をもっぱら餌とする。日本海のメジナやクロダイが太平洋側の同じ種類の魚に比べて圧倒的に美味な原因はこれだろう、などといった筆者の説を親子連れに語りながら磯遊びに興じる若狭湾の夏はもうすぐだ。
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