大発生!泳ぐ光の玉 ヒカリウミウシ【舞鶴・若狭水中散歩】

大発生!泳ぐ光の玉 ヒカリウミウシ【舞鶴・若狭水中散歩】

投稿日時:2015年11月20日

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刈入れの済んだ田のあぜ道に咲く花に秋を感じるのは、この国に暮らす喜びの1つだと思う。年間を通して海に潜ると、水温の変化を肌でとらえるため、四季に敏感になる。ただし、海の中の季節変化は単純ではない。毎年決まった時季に現れる生物もいれば、見慣れぬ生物が年によって大発生することもある。ヒカリウミウシは後者の例だ。
 図鑑によればこのウミウシ、その名の通り光を発するのが特徴らしい。全身が光るわけではなく、体の後半にある玉のような部分が光るという。もう1つの特徴として、砂に潜ることもあるそうだ。しかし、筆者が水中で出会ったヒカリウミウシは、上記以外の芸を見せてくれた。なんと、泳いでいたのだ。
 ヒカリウミウシは、背中の縦のラインを中心にして、ちょうどオジギソウが葉を閉じるように体を折りたたみ、横にした体を波打たせて泳いでいた。さしずめ、横泳ぎのバサロスタートというところか。光って砂に潜れて泳げるとは、ウミウシ界のスーパーマンではないか。
 ヒカリウミウシはなぜ泳ぐのか? その泳ぐ姿を見た日は、珍しく湾内で流れが速かったため、これに乗って移動していた風ではある。密度が高くなり過ぎて餌が不足したら仲間と距離をとるため、あるいは逆に繁殖期に仲間と出会うために泳ぐのかもしれない。
 さらには、捕食者に襲われたら逃げるためとも考えられる。実際、海で捕えたヒカリウミウシを水槽に放したところ、底へ降りずに泳ぎ続けた。この水槽では以前、ウミウシの天敵と思われるカワハギを飼育していたため、その臭いに警戒した可能性がある。
 10月初旬に多数いたヒカリウミウシは、10月末にはほとんどおらず、ちょうどそのあたりに、橙色をしたリボン状の卵塊が残されていた。緑色の海藻の上に、花が咲いたようである。

写真=2015年10月7日に舞鶴市長浜の水深2メートルの海藻上にいたヒカリウミウシ