サラサエビ−海のお医者さん

サラサエビ−海のお医者さん

投稿日時:2016年9月30日

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 サラサエビは、昼は岩の隙間などに隠れていることが多く、夜になると岩の上へ這い出てくる。夜の海に潜ると、こんなにたくさんのサラサエビがどこにいたのかと驚く。赤のストライプと白の水玉は可憐で、人目に触れないのはもったいない。
 サラサエビはしばしば、魚や無脊椎動物の寄生虫を捕食する。寄生虫をとってもらう側からすれば、サラサエビのような海のお医者さんは敬意を払うべき存在かと思う。にもかかわらず本種が夜に活動するのは、敬意など払わずに捕食してしまう魚が少なからずいるということだろう。実際、瀬戸内海で採集したキジハタの主要な餌はサラサエビだったとの研究報告もある。
 一方、広島大学の高尾真理子さんらの論文によれば、サラサエビはポリプ期のミズクラゲを旺盛に捕食する。自然な岩礁や転石の海岸には、サラサエビは高密度で生息するが、コンクリートの護岸では隠れる場所があまりないため少ない。近年、クラゲが慢性的に大発生している原因の一つとして、こうした捕食者の住み場所の喪失が挙げられる。
 ところで、エビといえば和洋中を問わず人気の食材だ。筆者自身も子供の頃からエビが大好物で、自分の息子の名前は「えびじ」にする,と宣言していたくらいだ。今でも、エビフライのしっぽを残している人が近くにいると、頂いてしまうことがある。
 エビたちは人類に好まれるだけでなく、魚類にとっても重要な餌となる。「エビで鯛を釣る」という言葉がある通り、釣りの餌として極めて有効である。同じく釣り餌として普及しているオキアミは、エビではないがエビに似た風味を持つため、魚には魅力的な餌なのだろう。陰に日に人類と魚類の役に立っている小さなエビたちとその生息場所について、時には思いを巡らせたい。

写真 ザラカイメンの間に隠れるサラサエビ。体長5cm ほど。2005年7月24日、冠島周辺で撮影。