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輝く宝は目の前に<br>ボーエン・マリーさん・豪から移住し神崎へ<br>地域の魅力発信に夢ひろがる

輝く宝は目の前に
ボーエン・マリーさん・豪から移住し神崎へ
地域の魅力発信に夢ひろがる

投稿日時:2022年08月12日(金)

 待ちに待った3年ぶりの開設となり、連日市内外から訪れた多くの海水浴客でにぎわう神崎海水浴場。たくさんの車が並ぶ駐車場を海沿いにそのまま通り過ぎると、例年ならそこには、雑草が生い茂る静かな風景が広がっていた。しかし、夏を前にこの地へ移住してきた一人の外国人女性によって今、新たな「地域の魅力」が力強い光を放とうとしている。

 今年の1月に単身来日し、オーストラリアから移住してきたのはボーエン・マリーさん(59)。6月には、福知山市で築150年を超える古民家を改修し、ゲストハウスをオープンさせた。このほかオーストラリア政府認定の通訳としても活動するマリーさんは、日本人と外国人の文化交流にも力を注ぐ。
 そんななか市の空き家バンク制度を利用し、いくつかの物件を見て回ったマリーさんは、最後に案内された神崎の物件を一目見て、強く惹きつけられたという。生い茂った雑草の中に佇む海辺の物件は、薄気味悪さを感じそうなものだがマリーさんは違った。「右に山、左に砂浜と海、少し先には滝や穴観音。もう、即決でした」と笑顔が弾ける。
 少しずつ手作業で進めている改修には、必要最低限のお金しかかけないが、ただ倹約に努めているからではない。「お金を出したらなんでもきれいになるけれど、それだと全然おもしろくない」と話すと「何でもそう。あるものを活かせばいいじゃない」と続ける。
 慣れない手つきで雑草だらけの敷地の除草作業をこなしていると「大丈夫か」見かねた近所の人が手伝ってくれた。またあるときはお裾分けだと野菜を届けてくれる地域の人も。「神崎の人は親切だしあたたかい」と資源だけではないこの地の魅力を口にする。
 そんな魅力あふれる場所だからこそ「空き家が多い景色を見るのはさみしい。高齢者は若い人が助けて、若い人は高齢者に知恵を借りたりしながら、みんながチームになって動くことが大切。そんな風にして人が集まる明るい場所にしていきたい」と話した。

「フードフェス」で笑顔はじけるマリーさんたち

【海を楽しむ「ミニフードフェス」】

 大好きな海へは歩いて30歩。サーフボードに立ちパドルで漕ぎ進むハワイ発祥のマリンスポーツ『SUP』を趣味とするマリーさんにとって、この上ない贅沢な環境だ。
 海水浴シーズンの夏はたくさんの人でにぎわう神崎。だがそれ以外のシーズンは静かな現状に「こんな素晴らしい場所が夏だけなんてもったいない。ここはパワーで満ち溢れている。神のミサキと書いて神崎。これはただの偶然ではない」と力をこめると「まずはゲストハウスをつくりたい」と今後の展望を見据える。カヤックやSUPなどのマリンレジャーをはじめ気軽に立ち寄れるような海辺のカフェなど、この場所を活かすアイデアは次々に浮かび、夢はふくらむ。また行動力あふれるマリーさんは、すでにいくつかの計画を始動させている。
 この夏は毎週日曜日「神崎ビーチハウス・ミニフードフェス」と銘打って交流の場を創出。おしゃれなキッチンカーなど5~6台が出店し、かき氷やソフトクリーム、ピザやこだわりの精進バーガーなどを提供する。
 ほんの少し前まで景観を損ねていた暗い空き物件は、気さくで陽気なマリーさんの人柄に引き寄せられるように人が集い、見違えるほどに活気づいている。
 観音様も祀られている山々を背に耳へ届く波の音、潮の香りにつつまれながら仲間と過ごすひとときは「贅沢」そのものではないだろうか。
 マリーさんは「この先は何もないと思われているが奥にもあります。ぜひ遊びに来て下さい」と呼びかけている。次の開催日は21日・28日▼ビーチハウス(神崎601)050・5532・1590、マリーさん。

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