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支えあえる場所に「子ども食堂 あいこのいえ」がオープン “あたたかな地域の居場所”目指して

支えあえる場所に「子ども食堂 あいこのいえ」がオープン “あたたかな地域の居場所”目指して

投稿日時:2022年04月15日(金)

 加速する少子高齢化や多様なライフスタイルの中で昨今、ますます人や地域におけるつながりの希薄化が懸念されている。誰ひとり、取り残さない地域社会の実現を目指す中で、地域コミュニティ活性化の重要性は増すばかりだ。
 そんななか東地区にまた一つ、新たな「こども食堂」がオープンした。子どもからお年寄りまで幅広く集える“あたたかな地域の居場所に”と願ってつくられた場所の名は「あいこのいえ」。多くの人の支援が広がり迎えた13日、人や地域のつながり強化を目指す起爆剤は、ゆっくりと動き始めた。

オープンには多くの人が集まった

 食事支援や学習支援を行う「子ども食堂 あいこのいえ」の代表を務めるのは畠中(はたけなか)愛子さん(71)。長く携わった医療現場では、副看護師長として定年を迎えた。その後10年ほど勤め上げた介護施設も昨年8月に退職。その直後から、いよいよ長年描いていた夢の実現へ向けた一歩を踏み出した。
 シングルマザーとして3人の子育てに奮闘していた看護師時代を、「仕事も忙しく、子どもたちには淋しい思いもたくさんさせてしまった」ともらしつつも「助けてくれる近所の人、地域の人たちの支えがあったからこそこうして子育てを終えることができた」と振り返る。「周囲の人たちに、どれだけ救われたか」と尽きない感謝の思いをにじませると「これからは自分がしてもらったように、誰かの支えになれたら」と夢を着想したきっかけを口にした。
 またこれに加えて、定年後勤めた介護施設では“誰もがいつかは必ず年をとり、一人で出来ないことが増えていく”そんな日々を目の当たりにする中で、「顔を合わすことで気づけることがあるかもしれない。子どもに限らず、高齢者も気楽に立ち寄れるような居場所づくりを」と目指す方向性が、色濃く浮かびあがっていった。
 こうして、かつての看護師仲間たちに展望を伝え相談。賛同する人らが集まり、ボランティアとして力を注いでくれた。分からないことばかりの中、様々な人がそれぞれの得意分野で力を出し合う。約10人ほどで始動した「居場所づくり」はオープン当日を迎える頃には20人を優に超えた。スタッフらは食材や物品提供、日増しに大きくなる支援の輪を通して、人のつながりの力を改めて実感した。
 【初回は50人が来所】
 申請書類作成や事務作業などを担うのは、畠中さんの長女で心理療法士の迫田りつこさん(39)。「こども食堂をやりたい」と言う母の話を当初は「そうなんだ」と軽く受け流していた。色んな人の協力を得てどんどん進んでいく中で、改めて“こども食堂とは”から調べてみることに。
 『地域の居場所づくり』に思いを巡らせる中で、過去の記憶が少しずつ呼び覚まされた。
 仕事が忙しく留守がちだった母、さみしかった子ども時代。だが一方で、いつもそばには誰かがいた。一緒にご飯を食べた近所のおばあちゃん、鍵を忘れて家に入れなかった小学生の時には、侵入出来そうな小窓を見つけ肩車して助けてくれた近所のおじさん。
 母が夜勤のため朝は不在であることから、中学生だったある日には寝坊もした。「りっちゃん起きて!りっちゃん!」と激しく呼ぶ声で慌てて飛び起きたが、その声は母ではない。「母が頼んでいたのか、近所の人が外からドンドンしながら大声で起こしてくれて。恥ずかしかったです」と言いながらも笑顔が弾ける迫田さん。
 「あ、あれのことか」と調べるよりも理解は容易く、あたたかく蘇る記憶の数々が「人や地域のぬくもり」を思い出させてくれた。
 「ここがそんな風にみんなの居場所になれば」と話すと「“縁の下の力持ち”として出来る限りのサポートをしていきたい」と力を込めた。
 この日は約50人が足を運んだ。食事支援として提供した初日のメニューはカレーライスとサラダ(写真)。用意した2.5升のご飯は空になり、訪れた人の笑顔に変わった。
 次回オープンは20日。
 『子ども食堂 あいこのいえ』京月町100―78番地▼駐車場有▼開催日=水曜日(月4回)▼時間=14時~19時▼料金=高校生・学生まで無料▽大人300円▼問℡080・5851・1165(代表)

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