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2021年自殺者数2万人超える<br>いのち見守る社会に<br>コロナ以前に比べ増加傾向つづく<br>対策の周知拡大が急務

2021年自殺者数2万人超える
いのち見守る社会に
コロナ以前に比べ増加傾向つづく
対策の周知拡大が急務

投稿日時:2022年02月08日(火)

 警察庁の自殺統計に基づく厚労省の発表で4日、2021年の自殺者数が2万984人(暫定値)となったことが分かった。
 新型コロナの流行などが影響して2009年以来の増加となった2020年の確定値と比べると、97人減少。ただ、減少を続けていたコロナ禍前の2019年に比べると815人増えている。
 舞鶴市の推計人口は1月1日現在で7万8878人。今回発表された2021年の全国自殺者数は、本市人口の約38%に匹敵する。こうした比較により数字に現実感が伴うと、より一層自殺問題の深刻さが鮮明になる。
 都道府県別で見ると、自殺死亡率(人口10万人当たりの自殺者数)が最も高かったのは青森と山梨の23.7人、次いで新潟21.3人。低かったのは神奈川と石川の13.2人、京都14.6人。自殺死亡率が2番目に低い京都だが対前年比は6.2%増。人数で見ると2020年の355人から22人増加し、377人となっている。
 【声かけひとつで救える命も】
 自殺対策として国は、相談窓口開設やゲートキーパー(自殺のサインに気づき、適切な対応を取れる人)養成など様々な策を講じているが、その周知度は決して高いとは言えない。
 厚労省がまとめた2021年度の自殺対策に関する意識調査では、「自殺対策強化月間(3月)」について内容まで知っていた人はわずか3.2%、知らなかったと答えた人の割合は76.9%だった。また「ゲートキーパー」について知らなかったと答えた人の割合は85.3%にのぼる。
 ゲートキーパーに特別な資格は不要だ。その役割は、心理・社会的・生活上・健康上の問題を抱えている人など、自殺の危険を抱えた人々に気づき適切にかかわること。
 行政や関係機関などの相談窓口をはじめ、民生委員・児童委員やボランティア、家族や友人など様々な立場の人がゲートキーパーの役割を担うことが期待されている。ポイントとなる主な要素は、家族や仲間の変化に気づいて声をかける「気づき」・本人の気持ちを尊重し、耳を傾ける「傾聴」・早めに専門家に相談するよう促す「つなぎ」・温かく寄り添いながら、じっくりと見守る「見守り」の4つ。
 2016年に厚労省が実施した意識調査では、5人に1人が「これまでに自殺を考えたことがある」と回答。たとえ自分自身は自殺を考えたことがなくても、自殺を考えるほどの悩みを抱えている人が周囲にはいるかもしれない。
 自殺は、その多くが追い込まれた末の死である。一方で、もしかすると救えたかもしれない命であることも確かだ。取り返しがつかない大切な命を失う前に、社会にできることは何か。わたしたちにできることは何か。
 一人ひとりの気づかいや心がけ、踏み出したその一歩で、守ることのできる命はきっと多い。

資料:警察庁の自殺統計に基づく自殺者数の推移等
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