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鳥類14種で 絶滅の危機ランクアップ

鳥類14種で 絶滅の危機ランクアップ

投稿日時:2021年06月08日(火)

鳥類14種で 絶滅の危機ランクアップ
シロエリオオハム(撮影者:河合恵美子)[提供]

京都府は5月31日、絶滅のおそれのある野生生物についてまとめた「京都府改訂版レッドリスト2021」を公開した。今回改訂が行なわれたのは、2020年度末に調査が完了した「哺乳類」および「鳥類」について。
 府自然環境保全課では、府の豊かな自然を総合的にとらえ、保全対策に取り組むために活用する基礎資料として「京都府レッドデータブック」を公開している。近年、シカの分布拡大や個体数増加、外来種による被害拡大など府内各地の生態系に影響を及ぼす様々な出来事がみられるようになり見直しが求められている。絶滅のおそれのある野生生物をとりまく状況の変化をふまえ、同課は生物種15分野ごとに調査を実施し、野生生物種レッドリストの改訂作業を進めている。
 今回の改訂において哺乳類(計27種)では、ランクが下がった種が5種、新規に掲載された種が1種、リスト外に移行された種が1種。またホンドギツネをアカギツネと改めるなど呼称が複数ある種名(和名)について、標準的な専門文献に準じて統一、8種で名称変更を行なった。鳥類(計114種)では改訂によりランクが上がった種が14種、ランクが下がった種は2種、新規掲載7種、リスト外への移行は1種だった。
 この改訂で特徴的な点、注目される種として哺乳類については、ツキノワグマが府下で確認される丹後個体群と丹波個体群2つともに個体数が増加しており、絶滅寸前種から要注目種にランクが下げられた。またコウモリ目の多くで新たな生息場所が発見されランクが下がり、準絶滅危惧種だったキクガシラコウモリ(翼手目キクガシラコウモリ科)はリスト外に移行された。
 一方、鳥類ではシカ害による低木や草本類などの植物多様性の低下、水辺での中州やヨシ原の変化など、生育環境の悪化が原因と考えられる観察個体数、営巣数の減少が確認された14種でランクが上がり、うち7種は絶滅寸前種に変更された。コアジサシ(チドリ目カモメ科)、シロチドリ(チドリ目チドリ科)は木津川河川敷などでの繁殖情報がほとんどなく、また規模の大きなヨシ原を飛んでいる冬鳥として少数ながらよく観察されていたチュウヒ(タカ目タカ科)も観察記録がほぼなく、これらは絶滅寸前種と判断された。同じ冬鳥として知られるシロエリオオハム(アビ目アビ科)は、越冬のため日本海に飛来し、冬期は舞鶴をはじめ海岸から観察することができたが、今回の調査によって、観察数は少ないことが明らかになった。すでに掲載されている近縁種のオオハムともに、準絶滅危惧種としてリストに新規掲載されることとなった。
 同課はデータ調査対象として掲げている昆虫、植物など残る13分野についても順次調査を行ない、進捗に応じてレッドリストを改訂するとしている。

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