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駅舎と共に未来へ/JR小浜線開業100周年<br>地元住民らが大掃除<br>苦境のローカル線 再生への第一歩は地道な発信

駅舎と共に未来へ/JR小浜線開業100周年
地元住民らが大掃除
苦境のローカル線 再生への第一歩は地道な発信

投稿日時:2022年06月17日(金)

 JR小浜線の松尾寺駅周辺で4日、同線の開業100周年を記念したボランティア清掃が実施され、地元住民やJR関係者ら約50人が作業に汗を流した。
 清掃事業を主催したのは、市の指定管理者として駅舎を管理するNPO法人の「駅舎と共にいつまでも」(福村暉史理事長)。100年間に渡って地域を見守り続けた駅舎への感謝を込め、交流拠点としての更なる活性化を目指して企画した。
 国登録有形文化財に指定されている松尾寺駅旧本屋は、小浜線が全線開通した大正12(1922)年に竣工。駅舎としては平成20(2008)年に現役を終えたが、観光交流施設として地元住民にとってのランドマークとなっている。
 この日は、それぞれ草刈り機や鎌、熊手などを持参し除草やごみ拾いに励んだ。
 「この数年はコロナ禍の影響で、例年取り組んでいた高専生を交えた大舞台での清掃が実施出来ず、有志による草刈りに取り組んでいた」と振り返る福村理事長(80)は、「小浜線開業100周年の今年、こうして多くの皆さんの手によって綺麗にしてもらって、本当にありがたい」と目を細めていた。
 以前、舞鶴高専に長男が通っていたという福原ルミ子さん(50)は、「お世話になった恩返しで参加させていただきました。綺麗になってとても気持ちいいです」と笑顔を見せた。

作業は駅周辺の広範囲で実施された

 【赤字路線存続へ何ができるか】
 開業から100年を迎えた小浜線。長く地元住民の大切な足として重責を果たしてきた公共交通は今、先の見えない苦境に立たされている。
 JR西日本は4月11日、一キロ当たりの1日平均利用者を示す「輸送密度」が2000人未満のローカル線に関し、区間別の収支を初めて公表。それによると小浜線は、営業損益が2017?19年度平均で18億1000万円の赤字だった。同社は自治体と沿線の活性化に取り組む方針とし、現時点で存廃議論にはならないとしているが、先行きが不透明なことは変わらず地域に暗い影を落としている。
 そうした中で迎えた100周年だが、清掃ボランティアの中には未来を担う若者の姿もあった。SNSで開催を知ったという、いずれも東舞鶴高3年の山﨑桃菜さん、木南真保さん、大橋史佳さんだ。
 最初に企画を知って2人を誘った山﨑さんは、「雰囲気の良い建物で以前から気になっていました。役に立つことが出来て嬉しいけど若い人の参加が少なく残念。もう少し、こうしたことに興味を持ってもらえるよう発信していきたい」と力を込めた。
 ローカル線再生は、簡単に成し遂げられるものでは決してない。しかし、若者の純粋な思いに、その突破口を見た思いがした。

ボランティアとして参加した東高生の3人
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