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抑留と平和、羽島さん(米子市)寄贈絵巻で伝える 来年1月26日まで舞鶴引揚記念館で企画展【舞鶴】

抑留と平和、羽島さん(米子市)寄贈絵巻で伝える 来年1月26日まで舞鶴引揚記念館で企画展【舞鶴】

投稿日時:2006年11月17日(金)

絵巻と来館者に説明する「舞鶴・引揚語りの会」の会員。後方は絵巻を引き伸ばし解説した展示品

 旧ソ連で約3年間収容所生活を送り、舞鶴港に引き揚げた鳥取県米子市の羽島和彦さん(81)が、その体験を墨絵で描いて寄贈した絵巻を元に、NPO法人舞鶴・引揚語りの会(真下正理事長)が、平の舞鶴引揚記念館で、企画展「絵巻が語るシベリア抑留」を開いている。絵巻と各場面を引き伸ばし解説を加えて展示したほか、羽島さんを訪ねてインタビューした映像で、詳しい抑留生活と平和への願いを伝えている。  絵巻は2003年に同館に寄贈され、同会が企画展に向け資料の整理中に見つけた。抑留の具体的な様子を絵巻にした寄贈品は珍しく、子供たちにもわかりやすく紹介できることから、会員の和佐貞夫さん、名倉美智子さん、古橋ふみ子さんらが中心になり準備を進めてきた。  1944年に徴兵された羽島さんは北朝鮮で終戦を迎え、シベリア鉄道でタシケント(現在のウズベキスタン)の収容所へ送られた。48年7月に「恵山丸」で引き揚げ旧国鉄に復職。退職後、引き揚げの記録を伝えたいと3年がかりで文章にまとめたのに続き、99年ごろに絵巻「私の戦争」を完成させた。  絵巻は長さ7メートル、縦18センチ、朝鮮半島での終戦から引き揚げまでを33場面の絵で描く。タシケントで働かされた紙工場ボイラー室での石炭の焚き殻捨ての灼熱地獄やガスの臭い、辛い労働で消化不良となり太いゴム管を口に挿し、水を流し込まれた胃洗浄を朝夕繰り返した苦しさ、入隊時に父からもらった時計を食料と交換した思い出など、抑留の詳細を再現している。  企画展では33場面をA3サイズに引き伸ばし、解説を加えて展示もする。ラーゲリで使ったスプーンや、収容所から父に送った手紙も並べた。また、羽島さんに抑留生活などを聞いてまとめた映像も放映する。そのインタビューの中で羽島さんは「舞鶴港の濃い松が見えた時の感激は一生忘れられない。戦争は絶対してはならない。どうすれば平和を守ることができるのか1人1人が考えてほしい」と答えている。  羽島さんを訪ねた古橋さんは「真に迫る具体的な話をお聞きでき、私たちも語り伝えねばという思いを強くしました」と話す。展示は来年1月26日まで。午前9時~午後5時半。大人300円、学生150円。同会は会員も募っている。

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