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小倉・国指定重要文化財の民家 「行永家住宅」の保存修理進む 【舞鶴のニュース】

小倉・国指定重要文化財の民家 「行永家住宅」の保存修理進む 【舞鶴のニュース】

投稿日時:2002年05月21日(火)

 舞鶴市小倉の国指定重要文化財の民家「行永家住宅」(行永壽二郎さん所有)の保存修理が順調に進んでいる。府教委が昨年2月から建物の半解体と調査をしていたが、今年2月から復元の工事にかかっていた。現在は棟上げが終わり建物の骨組みが完成した。来月からは上屋(2階)の屋根に、雨漏れを防ぐための新しい手法の工事をした上で、瓦を葺く予定。一つひとつの仕事が職人らによって手間をかけて積み重ねられ、民家は少しずつ命を吹き込まれているようだ。
 民家は平屋1部2階建ての入母屋造り。丹後地方では最古の瓦葺き家屋。田辺城城主らが松尾寺に参拝する際、休憩所として立ち寄ったとされ、民家の奥座敷近くには専用の出入り口も設けられている。今回の解体調査で、天井を受ける横木に「文政三年」(1820年)の墨書きが見つかったことから、建築は182年前で、完成までに6年かかったことが分かった。
 現在京都市に住む行永さんが管理してきたが老朽化が著しいことから、修理の委託を受けた府教委が建物を半解体し、家屋の変遷過程を調査してきた。今後の保存計画では建物正面の座敷は当初の姿とし、土間に牛小屋とかまどを復元する。
 保存修理は全体の60%まで進んでいる。屋根は真竹を並べて縄でしばっているが、煤(すす)で真っ黒になっていた解体前のものをヘラで磨き、建物の南側半分などの屋根に再度使っている。いまは上屋の軒先に土を塗る作業もしている=写真。来月には真竹を組んだ上にむしろを敷き、さらにその上に雨を直接軒先へ落とすため杉皮を敷く。こうした手法は府内の民家修理では初めて導入するという。12月に完成の予定。
 解体と保存作業を担当する大滝工務店の棟梁、福田豊さん(48)は「ほぞやけたの組み方など、すべて手作業できちっとした仕事がしてある。この家から大工として学ぶことは多い」と話していた。

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