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喜多のパーム油発電所建設計画 市主催の説明会に132人

喜多のパーム油発電所建設計画 市主催の説明会に132人

投稿日時:2020年01月28日(火)

 喜多の舞鶴21ビルで25日、パーム油発電所計画の住民説明会が開かれた。市主催の説明会には、地元住民97人を含んだ計132人が参加。市と事業者からの説明後には2時間に渡って質疑応答が繰り広げられ、会場は異様な熱気に包まれた。

 計画は喜多と舞鶴港喜多ふ頭の府有地計約3.8haに、バイオマス発電所を建設するというもの。再生エネルギー分野における世界最先端企業であるAmp社の日本法人が出資し設立された「舞鶴グリーンイニシアティブス合同会社(MGI)」が事業主体となり運営。発電所の最大出力は66メガワットで、パーム油によるバイオマス発電所で国内最大規模となる。年間8600時間の稼働で生まれた電力は関電に売電するといい、一般家庭約12万世帯の電力に相当する規模になる。昨年9月に大阪市の環境保護活動団体らが主催するセミナーが市内で開かれた後、地元住民らが組織する「舞鶴西地区の環境を考える会」が発足。同会らは建設反対を訴え、市内各所にのぼりを設置するなど運動は活発化している。同会代表の森本隆さんは、「舞鶴発展のためにはリスクも必要という考えも分かるが、それによって生まれる諸問題は看過できない」と反対の立場を鮮明にする。ネット署名も含めて1万5000を超える反対署名を集めた森本さんらは、30日には経産省へ出向き署名を渡し、建設反対の陳情をするという。

【福知山では発電所運営会社と住民側で争いが泥沼化】

 2017年9月に正式稼働した福知山市のバイオマス発電所では、稼働後すぐに地元住民らの不満が噴出した。昼夜を問わず稼働する機器から発生する騒音と、「フライパンを空焚きしたような」と住民が表現する悪臭に悩まされ続けているという。現在地元の町内には、稼働中止を求めるのぼりが数多く設置されている。11日には、発電所を運営する事業者と住民側との話し合いの場が初めて設けられたが、互いの主張は平行線をたどった。「いったん稼働を停止し、改善を確認してから稼働するのが当たり前」とする住民側と、「住民側に迷惑をおかけしているのは事実だが、自前の土地で法令を守りながら操業している。稼働以前の環境に戻すことは現実的に難しい」とする事業者側。現状では妥協点を見出すことは困難な状況となっている。発電所近くに住む我孫子高志さん(77)は、「反対活動をしているが、先が見えない。建ってからでは遅いと痛感している」と話した。

【双方のギャップ鮮明 難しい舵取り続く】

 説明会では市と事業者から、詳細なデータを示しながら時間をかけて計画の説明がなされた。会の冒頭であいさつに立った堤茂副市長は、「人口減少が進む本市にとって、経済効果が期待できる計画には違いない。環境対策及び運転管理を適切に行えば、周辺環境への影響は最小限にとどめられる」と話し、丁寧に計画を進めていく立場を強調した。また事業者側は騒音や悪臭対策には万全を期しているとし、計画の詳細を説明した。市からは、他都市でのパーム油発電所の事例についても説明があり、福知山市での問題も例に挙げながら、今回の計画が福知山市での対策に比して万全なものであると強調した。説明後受け付けられた質疑では、「数値をいろいろ示してもらったが、そもそも作らなかったらいい話だ」「行政が設定する基準値自体がおかしい」といった根本的な質問も多く、両者の間に横たわる溝の大きさが鮮明になった。舞鶴西地区の環境を考える会の森本さんは、問題が大き過ぎて落としどころを見つけるのが困難とし、「住民、行政、事業者、公正な第3者」による4者会議の開催を提案した。今後、双方がどのような妥協点を目指すのか。難しい舵取りは続いていく。

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