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健康育む「食」を目指して<br>「地産地消」で豊かな食卓を<br>作り手見える素晴らしい食材にスポットを

健康育む「食」を目指して
「地産地消」で豊かな食卓を
作り手見える素晴らしい食材にスポットを

投稿日時:2022年06月03日(金)

 市が2018年に取りまとめた「舞鶴市健康増進計画」の最終年となる本年は、これまで取り組まれてきた様々な施策の総決算となる。そんな中、「食が育む健康」への意識は市民らの間で少しずつ広がりを見せつつある。

調理した「あすなろ会」のメンバー

 「舞鶴版スマートウェルネスシティ」を旗印にして取り組まれる施策によって市は、細分化された様々な分野で数値目標を立てた。その中で高齢者世代の食生活においては、基準となる2017年に59.8%だった「食育に関心のある人の割合」を70%に、48%だった「意識して地場産農水産物を購入する人の割合」を60%に、それぞれ向上させる目標を立てた。
 そうした経緯を背景に、長年に渡って食生活指導士として活躍する谷口久美子さんは、自身の運営する料理教室で積極的に地場産の材料を使用。減塩にこだわって、素材の旨味を引き出す調理法を生徒たちに伝授し続けている。
 本紙でもこれまでに数回、谷口さんの運営する料理教室を取材し紹介してきたが、本紙4月19日掲載の記事内容に「心打たれた」という読者から、編集部に連絡が入った。電話の主は、野原在住の川﨑清四郎さん(86)。乾燥ワカメの製造販売を生業にして63年になる、その道のプロフェッショナルだ。今も京都市内をはじめ約2000軒の得意先があると胸を張る川﨑さんは、「食で健康を作るという考え方に強く共感した」と話し、料理教室への材料提供を熱望。編集部が仲介し、乾燥ワカメを届けることになった。
 23歳で乾燥ワカメの製造を始めた川﨑さんは、文字通りワカメとともに青年期を過ごした。「食」の持つ底力に気づかされたのは、小学生だった長女が難病にかかってしまった時のこと。当初は、「完治する見込みがない」と言われた病状だったが、奇跡的に回復。「何故だか分からない」と驚きつつも医師は「これは奥さんに感謝しないといけない」といい「娘さんの回復はきっと日頃の食生活のおかげ。食は何よりの薬ですから」と続けた。川﨑さんは妻が食卓に並べ続けたワカメに思い当たった。
 それ以来数十年に渡って「食は薬」の思いを胸に、体によい食品を作り続けた川﨑さん。紙面を通じて結び付いた“同志”の活躍を、応援せずにはいられなかった。

乾燥ワカメを手にする川﨑さん

 【特別レシピに舌鼓】
 「病院にお金を使うより、食にお金を使った方が健康にいい」という考えを実践する谷口さんは、川﨑さんからの材料提供を受け独自のレシピを開発。5月27日に市役所西支所で開かれた料理教室「あすなろ会」で披露した。
 メニューは、「餃子の皮でワカメピザ」「ワカメとタコの辛子酢味噌和え」「ワカメと春雨スープ」「ワカメご飯」の4品。この日集まった12人の生徒たちと共に、おしゃべりしながら調理に精を出した。
 加佐地区の農家に育ち「作物を作る人の苦労は分かる。それだけに、精魂込めて作られた地場のものをできるだけ使いたいし、周りにもそういう考えを広めたい」と話す谷口さんは、生徒たちと談笑しながら生産者らの苦労に思いを馳せる。
 また「地元の素晴らしい食材を使った料理は、生産者と消費者どちらにとっても良いことばかり」「作り手の顔が見える食べ物は、そのことが何より美味しい調味料にもなります」と谷口さん。参加者らも「こうしたレシピを広めていくことで、地場食材の素晴らしさを発信していきたい」などと口々に思いを確かめ合っていた。

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